ここ数日、宮城県内は朝晩は涼しくなってきて、夏も終わりに近づいていることが感じられますね。猛暑に豪雨と、天気に振り回されっぱなしだった感のある今年の夏ですが、このうちの猛暑について、気象庁は先日、「異常気象に該当する」との見解を示しました。

●そもそも異常気象とは?

よく記録的な暑さや豪雨災害に見舞われると「これは異常気象だよ」という声が聞かれますが、気象庁では、異常気象を「ある場所・ある時期において30年に1回以下で発生する現
象」と定義しています。
非常に珍しい極端な状態で、社会経済に大きな影響を及ぼすこともあります。

●2か月前を振り返ってみると・・・

宮城県内は梅雨の最中の6月下旬から急に暑さが厳しくなり、仙台では6月25日に最高気温が35.1度まで上がって観測史上初めての6月の猛暑日となりました。
その後も厳しい暑さが続き、6月28日から7月5日にかけては8日連続で30度以上の真夏日となり、電力需給のひっ迫が懸念された日もありました。
6月29日には東北南部の梅雨明けが発表されましたが、6月の梅雨明けも観測史上初めてのことでした。
全国的にもこの時期は異例の猛暑で、8月22日に開かれた気象庁の有識者検討会では「異常気象」だと結論付けられました。

●カギは「二段重ね高気圧」

この猛暑の理由は、日本付近で2つの高気圧が同時に強まったためでした。
「二段重ね高気圧」

当時は、フィリピン周辺で海面水温が平年より高く、上昇気流が発生しやすくなっていましたが、そこで上昇した空気が日本付近で下降するような形になり、地上付近の「太平洋高気圧」を強化させました。
それから、上空を流れる偏西風が日本付近で北に大きく蛇行したため、その南側に広がる、上空15キロほどの高さの「チベット高気圧」も強まり、高気圧の「二段重ね」のような形となりました。
空気は上からの高い圧力で圧縮されると気温が上がる性質があるため、各地で”異常な”猛暑になったというわけです。

●大雨も相次いだが・・・

しかし、7月中旬以降はジェット気流が南下し、太平洋高気圧の勢力が弱まった時期もありました。それにあわせて前線の活動が活発化し、7月15~16日は宮城県の大崎市などで記録的な大雨に。そして8月3日以降は東日本・北日本の日本海側で豪雨災害が相次ぎました。
ただ、気象庁の検討会は、全国的に見た場合に広い範囲での大雨にはならなかったとして、
一連の大雨に関しては異常気象とまでは言えないとしています。

●地球温暖化も影響か

気象庁の検討会では、この夏の猛暑について、地球温暖化で地球全体の気温が上昇傾向にあることも影響したと分析しています。
また、大雨についても、地球温暖化による大気中の水蒸気の長期的な増加が、降水量の増加につながった可能性がある、としています。
一定の体積の空気中に含むことができる水蒸気の量は、気温が高くなるほど大きくなる性質があるため、温暖化が進むとより大雨のリスクは高まるとされています。

来年以降も、夏は猛暑と大雨の両方に対する備えが必要となっていきそうです。