ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まり8月24日で半年。愛知県安城市では、家族で避難してきたウクライナ人女性による料理教室が開かれました。


終わりの見えない戦争に女性の思いは

フライパンで炒められる真っ赤な野菜は、ウクライナの伝統料理ボルシチに使われるビーツです。教室の講師を務めるのは、ウクライナ北東部の都市・ハルキウ出身のオレーナ・デルカッチさん(41)。ことし6月、夫と3人の小学生の娘とともに安城市に避難してきました。



(ウクライナから避難したオレーナさん)
「多くの人がウクライナ料理に興味を持ってくれていて、とてもうれしいです」


この教室は、オレーナさんと地域の人たちとの交流を深めようと企画され、親子連れなど10人が参加しました。

翻訳機を使いながら教えるのは、ウクライナの郷土料理のレシピです。ボルシチや、鶏のレバーパテを作りました。


(参加者)
「おいしい」「びっくりしました。こうやって作るんだって」

日本での交流が深まる一方、故郷の戦争は終わりが見えていません。

ロシアの軍事侵攻から半年となるきょう8月24日は、1991年にウクライナが旧ソ連から独立した記念日でもあります。

しかしウクライナでは、今もロシア軍による攻撃が続いていて、首都キーウでは独立記念日に関するイベントは禁止に。オレーナさんたちの故郷・ハルキウでも、市民に対して外出禁止令が出されるなど緊張が高まっています。

(ウクライナから避難したオレーナさん)
「独立記念日は毎年、みんなでお祝いするのですが、今も故郷で、人々が苦しんでいるのを見ると胸が張り裂けそうです」

独立記念日を前に訪れたのは…

きのう、独立記念日を前にオレーナさんたちが向かったのは、安城市内にある、ひまわり畑。ひまわりは、ウクライナの国の花でもあります。


(ウクライナから避難したオレーナさん)
「ひまわりを見るとウクライナにいる両親のことを思い出します。私たちの故郷にもたくさんのひまわりが咲いていました」

今もハルキウに残るオレーナさんの両親。去年までは家族で一緒に独立記念日を祝っていました。

(ウクライナから避難したオレーナさん)
「戦争が終わらない限りは、両親に会えるかどうかもわからないし、安全な日本にいても不安は尽きません。私たちは、この戦争で過去も未来も奪われたのです」

ウクライナへの軍事侵攻から半年。遠く離れた母国の風景をひまわり畑に重ね、オレーナさんたちが願うのは「平和」だけです。