侵攻から半年がたちますが、故郷・オデーサの人々をいつも心配しています。

 (ナターリャ・オレイニクさん)
 「誰しもが痛みを感じています。孤独で苦しんでいる人もいます。その影響で、周りの人も苦しんでいます。恐ろしいのは、いつ終わるかわからない。先行きが見えないこと」

 すると、ナターリャさんは取材班に先週撮影されたオデーサの映像を見せてくれました。夜の街で多くの人が踊っています。中には子どもの姿も。SNSにあげられた動画で、戦争のストレスから人々が狂乱状態になっている様子だといいます。

 (ナターリャ・オレイニクさん)
 「こうやってストレスを解消しているのです。『明日人生が終わるかもしれないから今さえ楽しければいい』と狂乱しているようです」

 オデーサはロシアの支配下に置かれたヘルソンから車で2時間の距離。脅威が身近に迫っているため精神的に追い込まれた人が多いのだといいます。

 母国でカウンセラーの資格を持つナターリャさんは、毎晩、電話で現地の人の悩みを聞いています。取材した日、ナターリャさんがビデオ通話で話を聞いていたドネツク州出身の女性は、家族と会えず体調を崩しているといいます。

 【ビデオ通話でのやりとりの様子】
 (ドネツク州出身の女性)「戦争で娘や孫とも離ればなれになり、もう1年会っていません。健康問題も出てきていて、例えば不眠症もあります」
    (ナターリャさん)「物理的に離れているので、コミュニケーションの唯一の方法はビデオ通話。48時間以上コミュニケーションなしにいてはいけません。48時間に1回はコミュニケーションをとってください」

 そこに、また電話が。電話はオデーサに残るナターリャさんの母・ヴェーラさんからでした。

 【電話でのやりとりの様子】
  (ナターリャさん)「どういう状況?きのうはサイレンならなかった?」
 (母・ヴェーラさん)「昨晩はなかったわ。いまのところ静かだわ」
  (ナターリャさん)「母さんのために祈っているからね」

 重い病気で身動きがとれないため毎日、電話を欠かしません。

 (ナターリャ・オレイニクさん)
 「自分が心配したところでどうにもならないので、できるだけポジティブにいます。母は強いし賢いし、うまくやっていけると信じています」