九州を拠点に活動するプロレス団体「九州プロレス」に、1人の外国人レスラーが参戦しています。出身地のシリアから海外に渡り、ドイツで難民認定を受けたレスラーが、九州のリングの上で思い描く夢とは――。

「残って死ぬか、死ぬかもしれないが国外脱出するか」

リング上でぶつかり合う九州プロレスのレスラーたち。「九州を元気に」を合い言葉に真剣勝負を見せ、時には笑いを誘って、ファンを魅了しています。

7月から期間限定で参戦したのは、シリア人のレスラー、ジョージ・コーカスさんです。

「今から稽古を始めます。よろしくお願いします」

他の外国人選手と稽古に励むコーカスさんは、レスラーになるまで過酷な人生を歩んできました。

出身地のシリアでは2011年以降、内戦が激化。一般の市民が住む市街地でも至るところで戦闘が行われ、平和な日常は失われました。

ジョージ・コーカス選手「もちろん怖かった。どこにでも爆弾があって、友人は軍隊に行って戻ってこなかったし、寝ている間に建物が破壊されるなど全てが変わってしまった」

死と隣り合わせの毎日から逃れるため、コーカスさんは故郷を離れる決断を下します。

ジョージ・コーカス選手「私には2つの選択肢があった。シリアに残って爆弾の被害に遭って死ぬか、国外に出ようとして死んでしまうかもしれないが生き延びることができるかどうか。もしかすると外に出ればチャンスがあるかもしれないと、シリアを脱出した」