今から79年前、原爆が投下された広島を、間もない時期につぶさに記録したフィルムがあります。それは日本映画社が被爆の翌月から広島に入って撮影された貴重な映像がフィルムに残されていたものです。さまざまな経緯をたどったフィルムは劣化が進んだため、国立映画アーカイブに保管されています。いま、原爆の惨禍を見つめたフィルムがどのように保存されているのか取材しました。

小林康秀 キャスター
「国立映画アーカイブの相模原分館です。ここはフィルムの保管庫ですので、ふだんは一般公開されていません。特別に許可を得て、中に入っていきます」

国立映画アーカイブは、国立近代美術館に始まり、東京国立近代美術館フィルムセンターを経て、2018年に設立しました。本館は東京都中央区で、神奈川県にある相模原分館は貴重な映画フィルムや映画関連資料を、管理・保護などを目的に合わせて48万缶を保存できる収容能力があります。

国立映画アーカイブの 大澤浄 主任研究員に案内してもらったのは、26万8000缶ほどフィルムが缶に入って保管されているという映画保存棟Ⅱ。3つある保存棟のうち2011年に造られたものです。「フィルムファースト」のコンセプトで作られた保存棟館内の温度設定も大事です。

何重もの扉をくぐると冷気が漂ってきます。あえて温度を下げています。ふだん、スタッフが働く建物の1階は20℃に保たれています。

国立映画アーカイブ 大澤浄 主任研究員
「ここは検査室で、専用の機械を使って、それを機械を動かせる技能を持った技術者がいないとフィルムの中身が確認できないので、フィルムを専用に見る部屋になります」

そして、わたしたちはさらに低い温度で、大量のフィルムが保管されている地下に降りていきました。

なぜこの施設に原爆記録フィルムがあるのでしょうか?