■男子高校生「浮気がばれちゃったとかは聞きますね…」

でも、その新人女性記者はこう続けた。

「この【位置情報アプリ】の良さもあります。同じ国家試験の合格を目指す友人グループが共有していたのを知っているのですが、例えば一人の子が自分の部屋にずっとこもって試験対策の勉強をしているということが把握できると、それが刺激になって『私も負けずにがんばらないと!』ということはありました。」

それでも、筆者としては、防犯のために親がわが子の位置を把握したいというのは無理なく理解はできても、このアプリがきっかけで若い男女の仲に亀裂が入るという事態は容易に想像つくわけだし、(好きな人の位置をいつも把握しておきたい)という思いは、なかなか理解が進まないのが正直なところ。


では、別のZ世代の男性記者が名古屋市内で【位置情報アプリ】について様々声を集めたというので、教えてもらうことに。

15歳の女子高校生「親と場所を共有するために入れました。アルバイトに行くとき親がよく見ますね」

また、以前付き合っていた社会人の彼にアプリを「入れられた」と話す女子大学生のAさん(19)は、アプリが原因で交際にピリオドを打ったと話してくれたらしい。そうなった経緯はこういうことだった…。

記者「女性は『何かあった時、すぐに駆け付けられるように』と言われてアプリを入れられたものの、実際には、学校終わりの立ち寄り先にまで口を出されていました。

次第に彼からの監視が厳しくなって、繁華街に近づくだけで電話がしつこくかかってくるようになりました。相手に監視され続けると、今度は逆に女性も彼の行動が気になり始めて…。

これはまずいと思い、別れることになったそうです。『もう、位置情報共有アプリは懲り懲りです』と話していました。」

16歳の男子高校生クラスの7割くらいが入れている感じです。ぼくは、ずっと見られているのが嫌なので消しました。位置情報がばれることによって浮気がばれちゃったとかは生徒の間でも聞きますね…」

この男子高校生は、友人に誘われて、アプリを入れることにしたそうだが、反面、メリットもあったとのこと。「一時期、アプリを入れなければいけない雰囲気が出ていた時もありました。実際に入れてみると、クラスの集まりも連絡なしで自然にできるし、まさに省エネでした」と話していたそうだ。

■クラスで【7割使用】の位置情報共有アプリのスゴ



記者は名古屋市内でかたっぱしから聞いたようだ。

使ったことがあるという10代の若者15人にアプリを入れたきっかけを聞くと、11人が「友人の勧め」。3人が「親の勧め」。1人が「交際相手の勧め」という結果になったとのこと。

恐ろしいことに、こんな機能もあるそうだ。

ある若者が「めちゃめちゃ正確です。滞在時間も表示されるんです」と教えてくれたそうだ。このアプリ、使い方次第ではやはり、“監視アプリ”と言うべきか?

ことし8月、北九州市で刺された女子高校生は警察に対して、「少年に直接会ったことはないがSNSでやりとりしていた」と説明したという。

通報者によると「女子高校生と少年は、GPS共有アプリで情報共有していた。女子高校生のほうが『怖いから』と連絡を切ったらしい。そしたら東京から家まできたみたいな…」とのこと。

詳しい経緯はわからないが、【位置情報共有アプリ】でつながっていた東京の少年と福岡の少女。位置を知られていたことが悲劇につながった。

余談ではあるが、前述の女性記者によると、友人の一人には社会人になってから何気なく【位置情報共有アプリ】をインストールして「おもしろい!」と思ったと話してくれた人がいるそうだ。

それは、自分の通過したポイントがスマホの地図上に表示できるということ。行動範囲の可視化だ。

社会人になり、営業の仕事についたため(こんなに営業の仕事で各地を回ることができたんだ!)と視覚的に感じることができ、それがモチベーションアップにつながっているという。