20年前、愛知県豊川市で、当時1歳の男の子を連れ去り殺害した罪で、懲役17年の判決を受けた男性が、19日出所しました。
男性は、裁判では無罪を主張し、いまも裁判のやり直しを求めています。
19日朝。大分刑務所から1人の男性が出てきました。
(大分刑務所を出所した田辺雅樹さん)
「無罪にはなりませんでしたが、出所できたことはうれしいです」
殺人などの罪で17年の刑期を終えての出所です。
2002年7月、豊川市のゲームセンターの駐車場で、当時1歳10か月の村瀬翔ちゃんが連れ去られ殺害された事件。
発生からおよそ9か月後、田辺雅樹さんが翔ちゃんを海に投げ落として殺害したとして、逮捕 起訴されました。
田辺さんは当初犯行を認めましたが、裁判では「自白を強要された」として、一貫して無罪を主張しました。
(田辺雅樹さん 2007年取材時)
「威圧的な取り調べを受けて、自白せざるを得ない状況に追い込まれた」
Q本当にやってない?
「やってないです」
ほとんど泳げないという田辺さん。翔ちゃんを投げ落としたとされた現場ではこう語っていました。
(田辺雅樹さん 2007年取材時)
「(目の前の海が)怖いです。正直。まして夜ならね。こんなところから投げ落とすのは怖い」
2006年、一審の名古屋地裁は「自白の信用性はない」として無罪判決。ところが…
(田辺雅樹さん 控訴審判決前 2007年取材)
「頑張って、無罪になることを確信していきます」
2007年、二審の名古屋高裁は「自白は信用できる」として一転、懲役17年の有罪判決を言い渡しました。
(弁護団 後藤昌弘弁護士)
「(田辺さんは)非常に落ち込んでいました」
2008年に刑が確定しましたが、田辺さんは獄中から無実を訴え、再審=裁判のやり直しを求めました。
2019年に再審請求は棄却されましたが、弁護団が異議を申し立て、いまも審理は続いています。8月20日の会見で田辺さんは…
(田辺雅樹さん)
「17年で無駄な人生になったし、両親にも迷惑をかけた。1日でも早く社会生活に慣れて、通常通りの生活をしたい」
刑期を終え、形の上では事件は終結していますが、田辺さんの願いは、今もただひとつです。
(田辺雅樹さん)
「再審無罪を獲得することを望んでいます」