”素手でトイレを掃除”問題 熊本市のケースは
トイレ掃除をめぐる問題は、ほかの学校でも起きている。
熊本市では去年5月、小学校の宿泊教室で、57歳の女性教諭が、当時小学5年の男子児童2人に、便器のまわりに漏れていた尿を素手で雑巾を使って掃除させた。
しかし、その後の学校や教育委員会の対応は、久留米市のケースとはだいぶ違う。
熊本市教育委員会は、2020年、「体罰等審議会」を設置した。弁護士や精神科医など有識者からなる第三者委員会で、学校生活の中で被害の訴えがあった場合、速やかに開催し、再発防止のための助言を行う機関だ。
被害を訴えたい場合、保護者や児童は「子供を守る相談票」に細かく事案を書いて、教育委員会か学校に提出する。
その上で、教育委員会が、当事者や関係者などから聞き取りを行い、それをもとに作成した資料を「体罰等審議会」に提出する。
聞き取りの主体が、学校ではないのがポイントだという。
熊本市教育委員会 橋爪富二雄 教育審議員
「学校側が入りますと、子供たちも保護者の方も忖度というか、そこに何らかの縛りがついてしまいます。『直接には言えない』とかですね。ですから私たちができるだけ直接的に入って学校に行って聞き取りを行います。」
審議会は、受け取った資料をもとに審議し、「体罰」「暴言等」「不適切な行為」「適切な行為」「該当外」の5段階に分類する。
熊本市教育委員会 橋爪富二雄 教育審議員
「我々はとにかく事実に迫る。それから教育の質を上げるというのが大きなテーマです。事実に迫れないまま、『ある程度忖度が入ったのではないか』とか『学校よりのジャッジ、もしくは事実を曲げられているのではないか』と思われないように、特に第一当事者である被害にあった子供の意見を必ず資料には出すように、体罰等審議会から言われています。」
熊本市教育委員会は、児童本人からの聞き取りもふまえ、素手によるトイレ掃除を指示した57歳の女性教諭を「精神的苦痛を与えた」として戒告処分とした。