投薬治療を開始 美香さんの母「うれしくて涙が出ました」
そんな美香さんに一筋の光がさしたのは去年9月のことでした。アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」(商品名:レケンビ)が国内で承認されたのです。病気の原因物質を取り除く国内初の薬で、症状の進行を遅らせる効果があります。美香さんは早速、今年1月にレカネマブの投薬治療を始めました。
(美香さん)「お薬と先生に頼って…祈るだけ」
2週間に一度、点滴で薬剤を投与。これが1年半続きます。離れて暮らす母親の幸子さん(88)が毎回、病院に同行しています。
(母 幸子さん)「(Q何を書いている?)あの子が覚えていられないから私が全部書いて、『次は何日よ』と言うてやるんです」
幸子さんはレカネマブの実用化が現実味を帯びたころから、ずっと治療が始まる日を心待ちにしてきたといいます。
(母 幸子さん)「『薬を打ちましょう』って言っていただいたときは、本当にうれしくて涙が出ました。まだ50代というのはあまりにもひどすぎるので。ちょっとでも遅らせてもらったらありがたいという気持ちです」
美香さん親子のように多くの患者らが期待するレカネマブ。しかし思うように治療が進んでいない現状があります。約1000万人いる認知症と軽度認知障害の患者のうち、投与を始めているのは7月始め時点で約2700人。0.03%にしか満たないのです。