「借金漬けで言いなりになることは避けたい」インフラ投資の恩恵を享受する一方で葛藤も

フィジー首都スバで中国企業が建てたマンション

中国が存在感を強めているのは、フィジーも例外ではない。首都スバでは、中国企業によるマンション建設や、橋などのインフラ投資が積極的に行われている。

ランブカ首相はこうした支援に感謝する一方、常に心がけていることがあるという。

「フィジーが開発パートナー国に多額の借金を抱えてしまうことで、相手国の言いなりにならざるを得ない状況に陥らないよう気を付けています。私たちは主権国家として独立性を維持したいのです」

こうした状況にあるのはフィジーだけではないとしたうえで、「すべての国は、支援を受ける際には自国の安全保障について考慮する必要がある」と強調した。

そのフィジーも前政権は非常に中国寄りとされ、2011年に両国は警察協力協定を締結。中国から派遣された警察官をフィジーで受け入れるなどしてきた。
しかし、2022年にランブカ首相が就任して以降は、安全保障分野で中国との距離感を模索する動きが続いている。
現在、フィジーに中国の警察官は一人も駐在しておらず、民主主義制度や司法制度がフィジーとより近いオーストラリアとの協力を強めているという。