「ニーズのある開発や援助を受け入れているだけ」米中対立のはざまで揺れる島しょ国

2022年、中国は台湾と外交関係を断ったソロモン諸島と安全保障協定を締結した。
さらに今年に入ると、同じく台湾と断交したナウルと国交を回復。今回のサミットが開催される直前には、習近平国家主席が北京で島しょ国と相次いで会談するなど、この地域で影響力を広げたい思惑がうかがえる。

一方、アメリカも2022年に島しょ国との首脳会合を開催し、安全保障上の脅威と戦うための「太平洋パートナーシップ戦略」を発表するなど、中国への対抗に必死だ。
こうした現状を、ランブカ首相はどのように受け止めているのか。

「ほとんどの島しょ国はアメリカ、中国という2つの大国と独自の関係を持っています。より平等に、バランスを取って両国との関係を維持する必要がありますが、自国のニーズにより合致した援助をしてくれる国の方に傾いてしまうのも事実です。
どちらかに距離が近づきすぎているように見えると、周りの国は、それが地域の不安定化につながると心配するかもしれません。その気持ちはよく分かりますが、彼らはただ、現実的にニーズのある開発や援助を受け入れているだけなんです」

米中の対立に巻き込まれていると感じることはないか尋ねると、「あるかもしれないが、大国との付き合い方においては現実的になる必要がある」と冷静な見方を示すランブカ首相。自国の発展のため、難しい舵取りを迫られている島しょ国の指導者らの苦悩が垣間見えた。