矛盾もはらむ、トランプ氏の「望み」

もっともトランプ氏が望む「株高、金利安、ドル安」が、今の環境ですんなり実現できるかというと、話は違ってきます。

景気の刺激と大型減税によって、「株高」が実現したとしても、その際は、財政支出の膨張によってインフレが進行し、財政赤字も拡大するでしょうから、金利はむしろ上昇するでしょう。

その場合は、ドル高が進むことなると見る専門家の方が多いようです。

もちろん、アメリカの景気が落ちてくれば、金利も下がりドル安に転じるでしょうが、その時は、株価が下落するのが普通です。

その意味で、今起きている「トランプ・トレード」は、結構、矛盾をはらんでいるように思います。

8年前と全く異なる環境

人はどうしても、過去の経験や既視感で将来を見通しがちですが、コロナ禍もウクライナ戦争もまだ起きていなかった2016年と、現在の2024年の世界は大きく違います。

前回は、インフレを全くと言っていいほど心配しなくて良かった、世界的な「ディスインフレ(低インフレ)時代」でしたし、トランプ大統領在任中の2020年は、コロナ禍であらゆる需要が「消失」してしまい、財政、金融の大盤振る舞いの副作用を考える必要などありませんでした。

今はその逆の環境で、前提条件がかなり異なっています。