涙のドラフトから2年――。先週、大阪府貝塚市にある日本生命グラウンドを訪れると、2年目内野手の山田健太(23)は黙々とバットを振り込んでいた。(取材・文 MBSアナウンサー金山泉)

「(立教大4年時のドラフトは)後悔の無いように野球人生を送ろうと思わせてもらった出来事ですね。悔しい気持ちを忘れずに、日々野球に取り組んでいます。」山田は、当時のことをそう振り返る。

“大阪桐蔭最強世代”と呼ばれた高校時代。同期の根尾(中日)、藤原(ロッテ)、横川(巨人)、柿木(日本ハム)らとともに、春夏合わせて3度の甲子園優勝を達成した。進学した立教大学ではリーグ戦通算9本塁打。4年時には主将をつとめ、大型セカンドとしてプロからも注目された。しかし、その年のドラフト会議で名前が呼ばれることはなかった。

日本生命に入社後は、自分に厳しく、ひたむきに努力を重ねてきた。1年目からレギュラーとして都市対抗野球と日本選手権に出場。そして2年目を迎える今季は、攻守ともに更にレベルアップした姿を見せている。本人が「課題として取り組んできた」と話す守備では安定感を見せ、持ち味だった打撃では勝負強さが増した。

特に印象的だったのは、5月に行われた日本製鉄瀬戸内との都市対抗近畿地区第1代表決定戦。日本生命1点ビハインドで迎えた9回表、土壇場で起死回生の同点タイムリー2塁打を放ち、その後同じく2年目の石伊雄太(23)のタイムリーで勝ち越した日本生命が、歴代最多となる2年連続63回目の本戦出場を決めた。