写真家・伊藤健次さん
「着きました…なんとか」

 足元には登ってきた稜線が…。反対側の斜面には、美しい『東カール』が広がります。

幌尻岳(ぽろしりだけ)の魅力は、ほかにも…『七ツ沼カール』です。

大小さまざまな沼が点在し、可憐な高山植物や、ヒグマなどの野生生物が生息し、“天上の楽園”とも言われます。しかし…。

日高町 地域経済課(国立公園等担当) 髙橋健 統括主幹
「今年の状況は、非常に雪解けが早くて、平年の7月上旬なら、カールバンドは雪で覆われ、池も水が溜まっているが、いま見える風景は、例年だと8月の風景になります」

「これが続けば、地球温暖化を示すものになるのでは…。植生の変化や動植物も生きづらくなっていく…」

6月、国立公園に指定された日高山脈。高山植物やヒグマが生息する“天上の楽園”ともいわれている『七ツ沼カール』に降りると…。

写真家・伊藤健次さん
「名前の通り、沼がたくさんあるんですね。平らな部分が広くて、雪解け水が溜まって、水辺と雪渓があり、それが融けると草が出てきて、非常に人にとっても気持ちいいところ、クマにとっても最高にいいところ…。日高の中でも、クマがいつもいるところが一番近いと思います」

「普通に、登山者が行き来している真下で、(クマは)草を食べたり、岩棚で寝ているんですね。それが登山者には足元なんで見えないんですけど、下から見えるとよくわかって、すごい近いところです」

そして、日高山脈が直面する課題も目の当たりにします。

日高山脈の国立公園化に取り組んできた日高町の高橋さんは、ある場所を案内してくれました。

日高町 地域経済課(国立公園等担当) 髙橋健 統括主幹
「“たき火の跡”になりますね…。この辺にあるような木を切って燃やしたと思います」

 日高町 地域経済課(国立公園等担当) 髙橋健 統括主幹
「もしこの木が、周りにある木を切られて焚火をされたのでしたら、ここは国立公園内で『特別保護地区』なので、樹木の伐採は禁止されていますから、違法行為ということになりますね」