雄大な自然遺産をセスナやモーター・パラグライダーで

コスタリカの世界遺産「ココ島」

中央アメリカ、コスタリカの自然遺産「ココ島」を撮影したときも、やはりスタッフはクルーズ船で寝泊まりしました。

秘境感たっぷりのココ島

コスタリカ本土から550キロ離れたココ島は火山活動によってできた無人島で(国立公園の管理人はいます)、映画「ジュラシック・パーク」のモデルにもなった絶海の孤島。特に海中の生態系が素晴らしく、番組でも信じられないほど多数のシュモクザメの群れや不思議な海底を歩く魚を撮影することができました。

シュモクザメの大群

島の周囲は深海に落ち込んでいるため、水深500メートルまで耐えられる小型潜水艇を使った撮影も行いました。水深250メートル辺りで捉えたのがアンコウの一種。さらに水深300メートル辺りで撮影したのが深海魚のシャチブリの仲間。体長1メートルほどで、骨格のほとんどが軟骨で、いかにも深海魚という感じです。

ココ島の撮影で使った小型潜水艇

とても通常のダイビングでは潜ることのできない水深…小型潜水艇を使った撮影ならではの映像でした。

一方、陸上の自然遺産を空から撮影する場合、近年はドローンを使うことが多いのですが、それ以外にもセスナやヘリコプター、さらにはモーター・パラグライダーを使うこともあります。

世界遺産「モシ・オア・トゥニャ/ヴィクトリアの滝」(ザンビア・ジンバブエ)

アフリカ最大の滝、ヴィクトリアの滝を撮影したときもパラグライダーを使いました。世界遺産としての正式な名称は「モシ・オア・トゥニャ/ヴィクトリアの滝」。ザンビアとジンバブエのふたつの国にまたがる、幅1700メートルもある巨大な滝です。モシ・オア・トゥニャとは現地の言葉で「轟音とどろく水煙」という意味。

パラグライダーから見た水煙

パラグライダーで撮影すると、滝の上空500メートルにまで立ち上る巨大な水煙をうまく捉えることができました。この巨大な水煙は落差100メートルの滝から起きる風が生むもので、地上から撮影した滝つぼも大迫力でした。

パラグライダーを使って撮影

フェリーでずっと寝泊まりしたり、潜水艇やパラグライダーを使ったり・・・人里離れた雄大な自然遺産を撮影するために、番組のディレクターは人知れず苦労を重ねているのです。

執筆者:TBSテレビ「世界遺産」プロデューサー 堤 慶太