ポスター掲示「デジタルサイネージも活用すべき」

藤森キャスター:
都知事選のポスター掲示枠の問題では、都政に関係のないメッセージを発信する人が複数出てきましたが、当事者としてはどう感じましたか。

安野貴博さん:
私は立候補が増えること自体は良いと思っています。いろんな人が出てくることで都民の選択肢が増えるというのは良いことかと思います。

一方で、ポスターを選挙のために使わないということは「どうなのか」と思います。あとは、ポスター枠からはみ出た人がいますが、それは不公平な土台から始まってしまっているので、選挙のやり方や掲示板の運用方法を改善していくべきではないかと思います。

小川キャスター:
改善策としてどんな提案がありますか?

安野貴博さん:
例えば、「デジタルサイネージのようなものを混ぜていく」という案があると思います。デジタルサイネージの場合、時間ごとに候補者を切り替えれば立候補者が何人でも問題ありません。

また、1万4000か所の全てに(ポスターを)貼りに行けない候補者でも、デジタルサイネージであれば一気に出すことができます。

選挙のたびに掲示板を作ったり壊したりしますが、(デジタルサイネージを)常設すれば無駄も省けますし、選挙期間以外は広告を出したり、防災情報を流すなど色々な使い道があると思うので、混ぜていくのが良いと思います。

斎藤幸平さん:
デジタル技術が進み、デジタル民主主義というのは確かに聞こえはいいですが、例えば経済学者の成田悠輔さんは、「究極的にはビッグデータとか、アルゴリズムがあって、AIが判断してくれれば政治家は猫でもいい」というような話をしていて、デジタルが発展すればするほど、むしろ人々の無関心や政治不参加が広まるのではという不安もあります。

安野貴博さん:
「デジタルを活用しよう」という人の中でも、派閥はあると思っています。成田さんが言うように「全てがAIでできる」ようになるとは、私はまだ考えていません

最終的な意思決定を、責任が取れる人間が最後に決める必要があるのではないかと思っています。

小川キャスター:
最終的に決断をする人間が必要で、課題をどう解決していくか案を提示してくれる人も必要だと思います。

安野さんのような人が出てきたことで、政治側から「どんどん提案をしてください」という声もかかってくるのではないかと感じます。小池さんから安野さんに何かオファーがあった場合は受けますか?

安野貴博さん:
オファーの内容に応じて判断したいと思っています。都民の皆様のためになることであれば前向きに考えたいと思います。

藤森キャスター:
エンジニアの最強のブレーンと政治のリーダー、どちらを目指すのでしょうか。

安野貴博さん:
これから、今回の反響などを見ながら、総合的に判断することかなと思います。

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<プロフィール>
安野貴博さん
都知事選で5位
「デジタル民主主義」掲げる
AIエンジニア・起業家・SF作家

斎藤幸平さん
東京大学准教授
専門は経済思想社会思想
著書『人新世の「資本論」』が50万部突破