実用化されれば世界初 ‟人工赤血球”

7月1日、奈良県立医科大学は輸血用の血液を人工的に作ることに成功したと発表しました。
開発したのは、血液の中でも酸素の運搬をつかさどる「人工赤血球」です。
血液型を問わず誰にでも投与でき、通常の赤血球の保管期限が4週間であるのに比べて、人工赤血球は常温で2年間保管することができるといいます。
実用化されれば、医療界の救世主となりうる「人工赤血球」。
開発者の酒井教授が解説します。

「人工赤血球」なぜ紫色?

発表された「人工赤血球」、色はピンクがかった紫色に見えます。
血液というと赤のイメージですが、なぜ紫色なのでしょう?

奈良県立医科大学医学部 酒井宏水教授:
この色はですね、デオキシヘモグロビンというんですけども、ボトルの中に完全に酸素がない状態になっています。
静脈と動脈の血液の色は違いますが、これはどちらかというと静脈の色に近いものです。
酸素が結び付けられますと、鮮やかな赤い色になります。

恵俊彰:
我々はもう血液と言ったら赤と思い込んでますけど違うんですね。
でも世界で初めてってすごい事ですね。

奈良県立医科大学医学部 酒井宏水教授:
人工血液という概念は昔からあります。多くの研究者が人工血液を目指していて、うまくいっていたのに駄目だったものとか、今も開発している人は私達以外にもたくさんいます。

恵俊彰:
そんな中で、先生たちがたどり着けた理由は何なんですか?

奈良県立医科大学医学部 酒井宏水教授:
やはり現場でニーズがあるということですね。
それがドライビングフォースになって、私達研究者が何とか作らなきゃということで。
本来赤血球の中にヘモグロビンが入っているのを一度取り出して、毒性のない状態、カプセル型にしたということですね。そこがちょっといろいろ難しいところがありました。