猫砂を使ったトリック
Aさんの遺体はトランクに積み、スマートフォンやタブレットは埋めるなどして、捨てた。
男はAさんの車を運転して沼津市の自宅へ戻る。道中、ドライブレコーダーのSDカードを捨て、通販サイトで酵素漂白剤を購入。商品のページには、『皮脂、油、食べこぼし、飲みこぼし、血液、泥の汚れにこれ1本』の売り文句。
自宅に到着し、Aさんの遺体を男の車へと乗せ換え、血の付いた衣服を洗濯。
午後5時半過ぎ、静岡県三島市内のホテルで開かれた自身が所属する団体の会合に出席、SNS用の動画を3本撮影した。二次会はスナック。
午後11時頃、量販店で袋や消臭剤などを購入。Aさんの車を沼津市内のコインパーキングに移動させておく。
翌朝・22日。
午前10時過ぎ、男は遺体を乗せた車に息子を同乗させて、予防接種に行く。後、一緒にホームセンターに入店。電動のこぎりやレインウェアを購入して、帰宅。
【弁護側の主張】
周到に計画していれば、考えられない行動をとっている。解体の道具を急ぎ購入していることは、殺害の計画を立てていない証明である。
遺体切断について、男は、殺害した夜、眠る直前、「なんとかして隠さなければいけない」という心から思い付いたと重ねた。
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正午から午後3時の間、息子を寝かしつけてから、浴室でAさんの遺体を切断。両刃のこぎりに電動のこぎり、キッチンにあった包丁を使った。男曰く、顔には傷がつかないようにしたという。

切断した遺体は5つの袋に分けた。消臭のため、猫砂も一緒に入れ、自宅3階のバルコニーにあるコンテナに4袋、男の車に1袋隠した。
【男の元妻 供述調書より】
「夫は理系っぽくて変わっています。かつて、猫砂を使った殺人事件のトリックについて、夫と話したことがあります」
これに対し、弁護士、本件の「殺意を裏付けるもの」ではないと主張。
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午後9時過ぎ、警察が自宅にやってきて、男は逮捕された。
犯行の一連が語られた。男はひじをついて、手を組み、額にあてていた。