「特にございません」

4日。
初公判。
男は証言台に立っている。

【冒頭手続き 男と裁判長】
裁判長「起訴内容に、違うところはありますか」
男「特にございません」
裁判長「間違いないということでよろしいですか」
男「はい」

男、はっきり答え、自席へ戻り、着席。

【起訴内容】
男は2023年2月21日に当時交際関係にあった女性Aさん(当時33)を静岡市内で殺害、翌22日に沼津市の自宅でAさんの遺体を切断・遺棄したとして、殺人と死体損壊・死体遺棄の3つの罪。

以下、犯行をめぐる記録は、4日から6日にわたる検察と弁護双方の陳述がもと。

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静岡県沼津市に住む男が、約100キロ離れた磐田市に住むAさんと知り合ったのは、2022年1月。5月から交際を始めた。男には妻、そして2人の幼い子がAさんにも2人の子がいた。

犯行前日・2023年2月20日。
男は
「金を渡す」
「プレゼントを渡す」
「最後に行きたいところがある」
とメッセージを送った。

【検察側の主張】
男は嘘をついて、Aさんを呼び出した。Aさん殺害の計画を立てていたということだ。

【弁護士側の主張】
この嘘はあくまでAさんとの関係を終わらせる方便である。