「ゼロ」から作る続編の面白さ

——前作からのファンや、新たに見始める方にも、どのように見ていただきたいですか?
前からのファンの方も楽しめるし、全く新しい方も、ここがゼロだと思っていただいてもいいように面白くなっていると思います。これは本当に海堂先生のある意味『発明』だなと思っています。続編だけど続編じゃないっていう。それぐらい面白いですね。僕も続編はいくつかやってきたのですが、続編は前のものを全部背負ってそこからどう行くか、みたいな話なのが、今回はもうスパンとゼロからですね。
——オーストラリアロケを敢行されて、現地での撮影はいかがでしたか?
やっぱり海外だと空気感が違いますね。オーストラリアのゴールドコーストは、世界有数の観光地ということもあって、抜け具合というか、解放感がありますよね。そこから撮影をスタートできたのは、今この時世だとなかなか地上波ではやりづらい中で、それができる環境を頂いたというのは、大変ありがたいなと思います。今回、本物のカジノを使わせていただきました。普通カジノにはカメラは入れないのですが、いろいろな方にご協力いただいて許可を頂き撮らせていただいたのは面白かったですね。
プロデューサーの「次なるステップ」

——「ドラマ職人」としてのプロデューサーという仕事についてお聞きします。この6年、苦境やピンチはありましたか?
自分はいろいろやってきて、それなりに、世間的にはうまくいっている方だとは思うんですよね、きっと。自分でもラッキーだなと思っていて。なので、ここまでやらせていただいたから、次の新しい企画とかも簡単に通るのではないかと、もうちょっと楽に、ラッキーに進むかなと思っていたら、全くそうでもない。毎回必ずピンチは訪れるというか、楽勝なことはないな、というのをこの6年でも経験してきました。
——プロデューサーとして、長いキャリアの中でどのような苦境を超えられてきたのでしょうか?
入社当時は企画が通らなくて、例えば100本ぐらい企画書を出しても通らないみたいなこともありました。中身が悪いのかどうかとか吟味して、いろいろなことを一個一個クリアして。
今になって分かってきたことなんですが、企画書がおもしろくないと企画は通らないのですが、一方で、企画書が面白ければ通るというわけでもないんですよね。プロデューサーをさせてもらえるということは、かなりの金額を預かって番組をつくるということで、いろんなことの総合力が問われる職業。会社員なので守られているところもいっぱいありますが、作品ごとに一つの会社を作って経営していくみたいなところもあるので、年とともに総合的な判断が必要なんだなということを知りました。でも、自分が50を過ぎてそういうことも段々と理解できてきたので、いろいろと順風満帆に行くかなと思ったら、そうでもない。また次なるステップがあるんだなと感じているのが、今の正直なところです。