エヌビディア時価総額が一時世界一に 投資信託との関係は!?

エヌビディアの影響で、S&P500や、ナスダックも最高値を更新し続けている。
これを牽引しているのが、エヌビディアだ。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
エヌビディア一強と言ってもよいかもしれない。例えば我々がエヌビディアに投資するときに、NISAの成長投資枠で1株120ドルぐらいで、エヌビディア株を買うことはできるが、それはNISAという枠を通じて、アメリカ株を買うことになるので、儲かったとしても、アメリカでは税金を払わなくてはいけない。

――NISA枠でも税金が引かれてしまう?

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
アメリカ株を買った分は、アメリカに払う税金がかかる。これは避けられない。それに対してS&P500とかナスダックの連動型の投資信託がある。こうした日本の投資信託を買うと、ファンドの中ではエヌビディアで儲かった分はアメリカに税金払わなければいけないが、日本の分はNISAだから無税になる。例えばナスダック100という指数には、エヌビディアが8%ぐらい組み入れられている。S&P500でも7%弱、オールカントリーいわゆる全世界株式でも3.7%。だからエヌビディア株を直接買わなくても、こういう投資信託を持つことで間接的にエヌビディアに投資することもできるし、同時にリスク分散もできる。
例えば毎月1万円、S&P500買ったとしたら、そのうちの678円はエヌビディア株を買っているということ。

データセンター向けGPUでシェア世界一

エヌビディアとは一体どんな会社なのか、そしてその強さの理由は?

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
エヌビディアは、グラフィックボードに使うGPUを作っている。GPUは「画像処理半導体」といわれる。よく知られてるのがCPU(中央演算処理装置)。CPUは処理を1系統で、順番に処理していく。パワーがあるので大きな処理を1本流せる。それに対してGPUは、複数の小さな処理を同時並行でできる。例えるとCPUは、2tトラック1台。たくさん荷物を運べるが、1軒1軒のお宅を順番に回っていかなければいけない。それに対して、GPUは宅配ピザのバイクが100台あるようなイメージ。荷物は少ししか積めないが、同時に100台でバーンと行くことが出来る。いろんな処理を同時にできるという違いがある。元々はゲーム向けに使われていたが、GPUがAI向けに使えることにある時からみんなが気づき始めて、AIに使うようになった。しかもそのAIが、爆発的に拡大している。中でも、エヌビディアのGPUはデータセンター向けがすごく強くて、絶好調。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
例えば日本だけでも2024年以降、データセンターを新しく作ろうという計画が北海道から、九州まで37社44拠点もある。これらのデータセンター全部というわけではないが、エヌビディアのGPUへのニーズは相当世界中にある。

――日本でも世界でもデータセンターを作っていく動きがある。まだまだエヌビディアの見込みはあるということか。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
そう考えていいと思う。株価自体は乱高下すると思うが、エヌビディアに限らず半導体全般の業績はまだまだ拡大が期待できると見ていいと思う。

アメリカの調査会社ガートナーによると、2024年の人工知能向け半導体の世界市場規模は2023年と比べて33%増加し、2024年で710億ドル。そして2027年には1194億ドル…もうトントン拍子で上がっていく。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
この予測によると2023年を起点に、2027年まで4年間で年率平均22%需要拡大が見込まれている。本当にそんなに増えるのか!?と不思議に思う方もいると思うが、AIを使ったビジネスそのものが伸びるかどうかは私自身まだ懐疑的なところある。AIが実際本当にそんな儲かるのかどうかよくわからないところもあるが、一方でエヌビディアが作ってるのは、AIのビジネスそのものではなく、AIビジネスに使う道具の「GPU」。昔、19世紀の半ばにゴールドラッシュがあり、アメリカでみんなが金を追い求めて金鉱脈に行った。あの時に一番儲けた人は金を掘った人ではなく、金を掘るためのスコップやつるはしを売った人だという話がある。(AIが金ならば)金を掘るための道具を作って売っているのがエヌビディアだ。
そう考えると、AIビジネスそのものが期待しているほどうまくいかなくても、その道具を作っているエヌビディアは、売ったらそこで売上・利益になる。そういう意味では、そんなに心配はいらないのかなという気もする。

――少なくともこれを見るだけでも2027年までは年率22%で伸びていくと見られている。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏
もちろん上振れする可能性もあり、下振れする可能性もあるが、少なくとも、右下がりという話には多分ならないと思う。一時的に下がることあったとしてもまた拡大していく。これは間違いないと思う。