日本の政治に根深く入り込んでいることがわかってきた世界平和統一家庭連合(以下、旧統一教会)。教団は現在ではかつてのような被害者は出ていないと釈明するが、番組では信者と教団の間で交わされた“合意書”なる書面を入手。また一つ見えてきた教団の正体について識者に聞いた。

■「旧統一教会の本質というのは、単なる宗教団体じゃない。」

岸田改造内閣が発足した。総理曰く「旧統一教会との関係を点検し、厳正に見直すことを了承した人のみを任命した」。今回、教団と何らかの関わりがあったと明らかにしていた7人は全員交代。閣外に出ることになったが、ふたを開けてみると新しくなった顔ぶれと、残留した中で新たに関係を明らかにしたのも7人。萩生田氏は閣外に出たものの党3役となり、政府・与党の中枢では旧統一教会との関係があった議員の数は減るどころか増えた。さらにその後の副大臣・政務官をみると54人中少なくとも19人(8月12日現在)の接触が明らかになった。閣僚だけでなく自民党全体の「点検と見直し」をすればどのくらいの議員が関係を持っていたことになるのだろうか?

国際情報誌『フォーサイト』元編集長 堤伸輔氏
「事の重大性からして点検と見直しというのは正しくない言葉遣い。まるで会社の防火設備を点検しなさいみたいな軽いものに聞こえる。必要なのは調査と解明。今回の岸田総理の人事は全く期待外れです」

国会議員だけでなく、地方議会、自治体を加えたらどこまで広がるのはわからない“教団との関係”。議員の中には関連団体とは知らなかったとする人も多いが、それでは済まされない。

全国霊感商法対策弁護士連絡会 山口広弁護士
旧統一教会の本質というのは、単なる宗教団体じゃない。政治部門もありますし、献金を集め、いろんなところに自由に使う経済部門もあります。それからワシントンタイムスなどその他言論の部門もある。政治部門だけが関わったということはあり得ない。私が聞いた議員さんも、よくわからなかったって言うんですけど、行けばすぐわかるんですよ。どんな挨拶をしてるかだけでも。文鮮明夫妻の写真だってあるし・・・。その人は、マズいと思ってすぐ帰ってきたと言ってましたが、わからなかったっていうのはあり得ないです

全国には旧統一教会の関連の施設は200以上ある。その建物の入り口などに自民党議員のポスターが貼られているケースが目につく。これは一体何を意味するのだろうか…。

北海道大学大学院 櫻井義秀教授
「ポスターを外に向けて貼るというのは、この組織はこの先生にオーソライズされている、認められているんですって打ち出し方です。一般の教団の推薦の仕方とは違う」

宗教団体が票集めに協力する場合はポスターは施設内部に掲示し、信者たちの票固めに使うのが普通だという。だが、旧統一教会は、外部の目に触れる場所に掲示し、自分たちの力の誇示のために利用するというのだ。

旧統一教会にとって日本人は献金マシーン以外の何ものでもないことはこれまでも「報道1930」でも報じてきた。教団側は政治家とのつながりを宣伝材料として信者を増やし、献金させ、資金を増やしている。結局、政治家は“自分が信者獲得に利用されている”ということを自覚すべきではないのか…。