近年で最悪といわれる東南アジアの豪雨災害です。死者はあわせて1100人を超え、甚大な被害となっています。「本気でやばい…」。旅行でタイを訪れていた日本人の男性は宿泊先に押し寄せる濁流の恐怖を語りました。

大規模な洪水に見舞われた、タイ南部ハートヤイ。1日、JNNのカメラが入りました。

記者
「濁流によって押し流された車が折り重なるように放置されています」

タイ政府によると、南部の一帯で179人が死亡。商業都市として知られる地区ですが、泥とがれきで埋め尽くされています。

この洪水をもたらしたのは、先月19日から降り続いた記録的な大雨。“300年に一度”と言われ、24時間で335ミリ降った日もありました。

街は海のようになり、ボートやトラックで避難する人や、屋根の上などで身を寄せ合う人も。雨は一週間以上降り続きました。

現地SNSより
「出てきた!もう安全ですよ!先に赤ちゃんを渡してください」

救命胴衣を着て浮かぶ女性、赤ちゃんを抱いています。レスキュー隊は首まで水につかりながら、慎重に2人を救い出します。

被災した人の中には日本人旅行者も。宿泊したホテルは交通量が多い通りに面していますが、降り続いた雨で通りは川のように。

タイ旅行中に被災 永山聡司さん
「完全に2階が浸水した時点で本気でやばいなと思った」

数日間ホテルに閉じ込められていましたが、隣国マレーシアに避難することができたと言います。

タイ・ハートヤイ旅行中に被災 永山聡司さん
「土地勘があるわけでもないし、言葉もストレートに伝わるわけでもない中で、どうなるか分からないのが一番怖かった」

水が引いた後、地元の人が直面したのは、変わり果てた街の姿。歩道で食器を洗っているのはレストランの経営者です。

タイでレストラン経営 チャナポーン・マハーシーさん
「水は天井まで達しました」

水は天井まで達したといいます。

客で賑わっていた店、今はとても営業できる状態ではありません。

こちらは厨房。調理器具には泥が付着、冷蔵庫でしょうか、横倒しにされたままです。

タイでレストラン経営 チャナポーン・マハーシーさん
「最初は悲しかった。30年間生きてきて、こんな大きな洪水は初めてです。でも現実を受け入れて頑張るしかない」

記者
「ここは救急外来になっているんですが、もう中は完全に水に浸かってしまって、今も患者の受け入れがほとんどできない状態になっています」

病院は医療器具などが水に浸かり、泥だらけのストレッチャーや車いすが屋外に並べられています。そんな状態でも…。

「(負傷者がいる)道を空けて!道を空けてください!」

負傷者を運び込むことはできず、急いで引き返していきました。

インドネシアでも、先月25日ごろから続いた豪雨で甚大な被害が出ています。これまでに604人が死亡し、いまだに464人の行方がわかっていません。

家に帰った住民。部屋には大量の土砂が流れ込んでいました。

こちらの女性の家は、豪雨で壊れてしまったそうです。

「(持ち出せたのは)服しかなかった。何か取ろうとした時にはもう、水が頭まできていた。そのまま流されてしまった」

スマトラ島のアチェ州では日本人8人が現地のホテルで孤立状態となっていましたが、外務省によりますと1日、インドネシア当局などが手配した小型機で7人が別の町に避難したということです。

残る1人については、本人の強い希望で現地に残りましたが、今後も定期的に状況を確認していくとしています。

さらにスリランカでは、先月27日に上陸したサイクロンの影響で、洪水や土砂崩れが発生。これまでに366人が死亡し、367人が行方不明となっています。