県警「減らそう犯罪情報官」の 太田貴之 警視にワケを聞いてみた。
「『警察に通報します』のパターンは、被害者本人がちかんの加害者に直接見せる・読ませることを想定して作っています。実はこの内容について一部のユーザーから『なぜ被害者が犯人に “お願い” をしなければならないのか』との意見が寄せられたのです」(太田情報官)
つまり、「やめてください」との表現は犯人への “依頼” のように感じるという意見だ。犯罪被害者が加害者に上げる声がていねいな言い回しである必要があるのか―。県警はこの意見に賛同し、変更を決めた。
では、どう変更するか。「やめてください」を「やめろ」に変えることも検討したが、必要以上に加害者を刺激し、さらなる被害を生むことにもつながりかねない。出した答えは「警察に通報します」だけを表示させるというものだった。
実を言うと、警察から説明を聞くまで、わたし自身(記者は男性)「やめてください」という表現に強い違和感は感じていなかった。しかし、ちかん被害、特にその加害者と被害者の力関係についてどこかステレオタイプに陥っていたようにも感じた。許せない犯罪行為に対して被害者は “か弱く” ある必要はないのだ。
県警によると、5月末までに県内では計67件のちかんが発生している。そのうち半数近くが電車やバスなどの乗り物の中だという。去年1年間で最もちかんが多かったのは6月だ(年間184件のうち29件)。
県警は、「もし被害にあった場合は、周りの人に助けを求めるとともに警察に110番通報、または相談してほしい。また被害を目撃した場合も、被害者に声をかけ、駅員や警察官に知らせてほしい」と呼びかけている。