“地域再生のテキスト”に

帰還困難区域について、政府は帰還を希望する住民に限って、除染や解体を進める方針を示しています。しかし、住民はその対応に納得いかない気持ちを抱え続けています。

今野義人さん「本来ならば、汚したんだから、すべて順番に除染していってきれいにしてもらえるのが当然なんだけど」

関場健治さん「希望者のみ除染しますっていうのは何か間違っていると思うんですけど…」

一方住民は、記録誌が地域にとって大きな区切りとなったことに、複雑な思いもあります。

今野幸四郎さん「ああ、昔こういう物語があったんだなというのにすぎなくなってしまうのかなっていうように、哀れな思いもしないわけでもないんだよ。記録誌そのものはいいよ。まったく13年っていうのは長すぎるしな。うん、長すぎるんだ」

邦彦さんは、記録誌が配付された地区の総会をこう振り返ります。

今野邦彦さん「実質的に……赤宇木の……葬式だったんじゃないかなって自分的には思うんです。だって、次の記録は歴史はいつから始まるかわからないんですよ。これすべて過去ですから」

10年をかけて完成した記録誌。それでも変わらなかった、帰還困難区域の現状。地域再生のテキストとして、この本が生かされる日を関係者が待ち続けています。