生きることを諦めないでほしい

気仙沼高校を訪れた及川さん。震災遺構伝承館の館長として初めて、当時の経験を語りました。

気仙沼市震災遺構伝承館 及川淳之助館長:
「だんだん体力、気力も消耗してきます。そして精魂尽き果ててもうここで死んでもいいと思った。おふくろお前のところに行くからなと…海の中に沈んでいたところ今度は娘の顔が浮かんできた。大きくなったときの顔じゃないんです。2つとか3つとかの笑っている顔、遊んでいる顔。そう思った瞬間、どこまでも生きてやると思った」

言葉を詰まらせながらも生徒たちにどんな時も「生きることを諦めないでほしい」とメッセージを伝えました。

気仙沼高校の生徒:
「私たちは震災の記憶がない世代なので色んな人の意見を聞くことで自分が震災にあったときにどう行動すればいいのかを学ぶことができた」
「家族の顔が浮かんだというのはすごく辛いというか悲しいなって思った。それが気力になって頑張れた経験はすごいと思った」

震災当時、消防署員としての責任感から「人命救助」や「住民の安全確保」を優先していたという署員たち。及川さんは、災害時の消防署員の行動については何が正しい行動か、正解はないが何よりもまずは自分の命を守ることを大切にしてほしいと話します。

気仙沼市震災遺構伝承館 及川淳之助館長:
「同じ職員だって命1つしかない。やっぱり逃げなくちゃいけない。ただ、組織で生きてるもんだからなかなかできないことだけど」

あれから13年、及川さんは亡くなった同僚たちの思いを胸に「生きる力」を伝え続けていきます。