世界遺産の定義「顕著な普遍的価値」を持つものとは?

2011年の世界遺産委員会が開催されたパリのユネスコ本部

世界各国の政府代表団が参加する、1000人規模の大きな国際会議。1972年のユネスコ総会で採択された世界遺産条約に加盟している195か国の中の21か国が委員国となり、各国が推薦した世界遺産候補について審議します。

世界各地のさまざまな民族衣装の参加者が行き来する光景に、「スターウォーズの元老院みたいだ」とヘンな感想を抱いたことを覚えています。

2011年の世界遺産委員会会議場の様子

この会議で飛び交っていたのが「オーユーヴイ(OUV)」という単語。「この世界遺産候補にはオーユーヴイが認められない」とか、「オーユーヴイがあるので、世界遺産にふさわしい」とか、各国代表団が議論しているのです。これは「Outstanding Universal Value」の略で、日本語では「顕著な普遍的価値」と訳されています。実はこれは世界遺産の定義といえるもので、顕著な普遍的な価値を持つものこそが世界遺産として登録されるのです。しかし世界遺産門外漢だった駆け出しプロデューサーにはチンプンカンプンで、「ケンチョナフヘンテキカチって何ですか?」と先輩プロデューサーに聞いたところ、「どこの国の人でもすごい価値があると認めるものじゃないか」との答えでした。

今回の特別企画を作るにあたり、鈴木亮平さんとも「顕著な普遍的価値」という言葉を一般の人にも分かりやすく説明するには、どんな表現にすれば良いのか話し合いました。結局、「どんな国の人が見ても、他に類を見ない価値を持つ」という表現にしようということになりました。13年前のパリで教わったことが、反映してます。

また「クライテリア(Criteria)」という単語も、会議で飛び交っていました。これは「登録基準」と日本語では訳されます。
「この候補にはクライテリア1は当てはまらない」とか、「この場合はクライテリア2ではなくクライテリア3では…」とか、委員国のメンバーが議論しているのです。