今年4月に起きた大規模火災からの復興を目指していた北九州市の旦過市場一帯。節目となるがれきの撤去完了を目前に、再びあがった火の手に関係者は一様にショックを隠せない。一夜あけ、一帯には無残に焼け落ちた店の瓦礫が広がっていた。
◆前回とほぼ同じ面積が新たに燃えた

イラストの赤で示した部分がRKBの記者が確認した焼損範囲だ。消防発表によると約2000平方メートル。テニスコートに換算すると7.7面に相当する。今年4月の火災で焼けた面積とほぼ同じ面積が新たに燃えたことになる。前回は焼失を免れた老舗の映画館も崩れた。燃え方は激しく、どこにどんな建物があったかすらわからない。

一夜明け、青果店の店主は失意の胸の内を語った。「せっかくお盆前休む前に頑張らないけんと思ってたのに。どうしようもないですね。言葉にならないです。これからどう商売しようか、どうしていけばいいか分からないです」

旦過市場一帯には、長年市民に親しまれている映画館がある。館主の樋口さんは「これからなのにね、復興。きょうもテレビで言ってたじゃないですか、がれきの撤去が終わったと、憩いの場を作るって。うちも何かお役に立てるかと思っていたのに」と力なく語った。
◆建設機械も投入へ、16時間以上たっても火はくすぶる
木造の建物が密集するエリアのため火の回りは速い。消防は41台の車両やヘリを出し、日付の変わった11日午前1時40分ごろに、これ以上燃え移るおそれがなくなったとして「延焼阻止」を発表した。その20分後には、ほぼ消し止めたことを示す「火勢鎮圧」状態になった。

ただ、瓦礫の下でくすぶる小さな火種を一つ一つ確認しながら水をかける作業は今年4月の火災と同じように難航し、16時間以上がたった現在(午後1時時点)も消火活動は続いている。消防は、完全に消し止める「鎮火」に向けて建設機械を現地に入れた作業も始めるという。