来月3日から新紙幣が発行されます。新1万円札の顔となる渋沢栄一の出身地、埼玉県深谷市では「渋沢グッズ」も登場。新札発行に沸く一方、いま深谷市では、日本銀行にあるものを要望しているといいます。
渋沢栄一“ゆかりの地”多すぎ、深谷市ライバル多すぎ問題
井上貴博キャスター:
キャッシュレス化が進んでいるので紙幣を使う機会は激減しましたが、今回は、お札の通し番号ともいえる「記番号」のお話です。

新一万円札の発行にあたり、深谷市が熱望しているのが若い記番号です。今回の新札では「AA」で6桁の数字を挟むので、最も若い記番号は「AA000001AA」になります。これはどこに行くのでしょうか。

現在流通している千円札、五千円札、一万円札で最も若い記番号「A000001A」は、日本銀行金融研究所の貨幣博物館で保存されています。確かに、最初の数字のものが保管されるというのはわかる気がします。
では「A000001A」が博物館だとすると、次に若い「A000002A」はどこに行くのか。取り決まりがあるわけではないそうですが、お札の人物のゆかりの地や団体で保管されるということになっています。
しかし、新一万円札の渋沢栄一で難しいのが、ゆかりの地・団体が多すぎる問題です。

渋沢栄一は日本の経済の基礎をつくったといわれている日本資本主義の父で、500社以上の設立運営に携わっています。現在もある企業で絞っても167社、上場企業は99社。枚挙にいとまがないのですが、KDDI、電力会社、東急、保険会社、さらに三井物産のような商社なども入ってきます。ゆかりがあるというところで、どう線引きするのか、難しいです。

ゆかりの土地ではどうでしょうか。たとえば出身地は深谷市で、渋沢栄一記念館があります。
一方で、出身地ではありませんが、かつて渋沢邸があった東京・北区には渋沢史料館があります。
また、出身地ではなくても開拓を助けたといわれているのが青森・十和田市で、こちらもゆかりの地といえばゆかりの地だろうということです。日本銀行は、どこに「AA000002AA」を贈呈するのか。
その前に、現在のお札の「A000002A」がどこにあるのかというと、野口英世の千円札は野口英世記念館がある出身地、福島・猪苗代町に保存されているそうです。
樋口一葉の五千円札は出身地ではなく、東京・台東区の台東区立一葉記念館に保存されています。期間は短いものの、住んだ場所がゆかりの地になっているそうです。
そして福沢諭吉の一万円札は、自身が創設した東京・港区の慶応義塾大学で保管されています。