去年の「合計特殊出生率」は「1.20」となり、過去最低を更新したことが分かりました。急速な少子化を背景に、SNS上では「子持ち様」論争まで起きる中、育児休業を取得した人のボーナスを同僚に分配するという、新たな取り組みを取材しました。

きょう、厚生労働省が発表した、1人の女性が生涯で出産する子どもの数を示す、去年の「合計特殊出生率」は、前の年から0.06ポイント下がって「1.20」でした。

8年連続の減少で、過去最低を更新していて、少子化の進行は危機的な状況にあります。子どものいる世帯が減ることで、子育てをする人としない人との「分断」が生まれ、SNS上では子どもを持つ親を「子持ち様」と揶揄する声まで上がっています。

そんな中、周囲の理解を促すための制度を始めた企業があります。

大和ハウスのグループ会社で働く鶴岡拓真さん(31)は、長男の誕生に合わせて今年2月までの3か月間、育児休業を取得しました。

その際に心配だったのは…

育児休業を取得 鶴岡拓真さん
「一番に考えるのは同じ部署の同僚の業務負担が増えちゃう」

この会社では気兼ねなく育休を取れるよう、休みを取った社員の同僚に対してボーナスを増額する制度を去年、始めました。

育休中の社員へ支払う予定だったボーナスを肩代わりする業務の負荷によって分配するもので、業務を担った同僚の去年の冬のボーナスは平均で17万円増額されました。

手当を受け取った同僚
「業務を負担する側としても、お互いのモヤモヤ感が軽減されるきっかけになったかなと思う。より育休を取る方への応援したい気持ちも強くなりました」

鶴岡さんにとっても…

「引継ぎの際も気持ちよく気兼ねなく、お互い納得しながら送り出してもらえたのかな。育休取得の後押しになったのかなと思っています」

厚生労働省は同様の制度を実施した中小企業に助成金を支給する制度を今年から始めています。

大和リース 佐伯佳夫 人事部長
「分かり合える仕組み、近づける仕組みみたいなものは、会社としては色々と工夫をしていかないといけないだろうと思っている」

子育てする人だけではなく、周りで支える人への支援も求められています。