イギリス王室では変化が…

継承問題など、制度を巡って変化を経てきたのが、日本の皇室と同様、長い歴史を誇るイギリス王室です。

これまでも女性が王位に就くことはできましたが、2013年、約300年ぶりに法律を改正。王位継承を男子優先から、男女に関わらず第一子を優先する形に移行しました。スウェーデン、デンマークなども同様の変更を行っています。

こうした制度変更が進んだ背景には、国民の理解があったと王室事情に詳しい君塚教授は語ります。

君塚直隆 教授(関東学院大学・英国政治外交史):
「国民あっての王室ですから、国民の支持、支えなくして王室の維持はあり得ない。それがあったから、(制度が)変わった訳なんです。特にイギリスの場合は、色々、広報を展開して、国民も王室のことをを分かってくれて、支えてくれるようになった」

国民にとって身近で開かれた王室を目指したイギリス。2022年に亡くなったエリザベス女王は、積極的に王室の活動を国民にアピールしていました。現国王も、絶えず投稿を行っています。

日本の皇室もSNSをスタート

春の園遊会で振る舞われた料理やお菓子、そして、栃木県にある御料牧場の動物たちの画像や映像。

宮内庁は4月から、SNS「インスタグラム」に公式アカウントを開設し、皇族の活動や、関連する情報の配信を開始。フォロワーは既に141万に達しています。こうした取り組みについて、街の声は…

女性:
「開かれて活動なさってるのが見えてればいい」

男性:
「変化は感じます。オープンになった気がします」

時代を経る中で変化する天皇像

神話の時代からの長い伝統を持つとされる日本の皇室。明治維新後、旧憲法で、国は「万世一系の天皇が統治する」とされ、天皇は「国の元首」に定められました。

ところが、終戦でその立場は大きく変わります。いわゆる「人間宣言」を行い、新憲法のもと、天皇は「国民統合の象徴」 となったのです。

天皇(現・上皇さま・1990年12月):
「日本国民統合の象徴として、現代にふさわしく、天皇の務めを果たしていきたいと思います」

戦地の慰霊や、被災地の訪問など、常に国民に寄り添う姿勢を見せてきた皇室。これからのありようについて専門家は…

河西秀哉 准教授(名古屋大学大学院・歴史学):
「象徴というのは憲法の中に『国民の総意に基づく』と書いてある。非常に概念は曖昧なんですけれども、時代の要請とか、国民の期待とか、複雑に絡み合いながら、社会が規定してきたもの。象徴としての姿は、我々主権者が、きちんと考えて議論していかなきゃいけない」

(「サンデーモーニング」2024年6月2日放送より)