物価高なのになぜ補助金打ち切り? この半年は電気代高止まりか

藤森祥平キャスター:
6月から平均的な家庭で、東京電力では392円の値上がり。そして、沖縄電力では最も日本で大きい616円の値上がりになりそうです。

電気料金は3か月続けて上昇しています。東京電力の標準家庭でみてみると、4月には、再生可能エネルギーを普及させるための賦課金が引き上げられました。

5月には政府の補助金が半分になり、6月には補助金が打ち切りになり値上がりです。3月に比べると、1400円ほど上がっている計算になります。

補助金を打ち切る理由について、林官房長官は「LNG(液化天然ガス)や石炭の輸入価格が、ロシアのウクライナ侵攻前と同程度に低下」と話しています。つまり、燃料価格が落ち着いてきたという見方のようです。

小川彩佳キャスター:
実質賃金が下がり続けて生活が苦しいという実感を覚える人が非常に多く、さらに猛暑となっていくタイミングでの値上がり…どう感じますか。

小説家 真山仁さん:
ウクライナの問題や円安が進んでいるというのは非常に大きな問題ですが、外国で戦争が起きたときに、安全のためにドルを買うというのは当たり前のことです。

戦争が起きたときに円安対策でエネルギーの輸入価格が上がることは予想できることですが、政府は対策をしていなかった…そういう意味では失政かもしれません。

ただ、多くの人が電気料金がどう決まっているのか、ほとんど知らないのではないでしょうか。石油も天然ガスも石炭もほとんど取れず、すべて輸入しているという不安定な国で、電気料金がどう決まっているのかということに無関心なのはなぜなのでしょうか。

電気料金が上がって怒る、下がって喜ぶではなく、猛暑を迎える前に考えないといけないと思います。

中東が不安定になった場合、石油が輸入できなくなる可能性もあります。そうなった場合、今と比べ物にならない状況になるかもしれません。

お尻に火がつかないと問題に気づかないというパターンが続いている気がしますので、エネルギー問題はもっと真剣に考えてほしいと思います。

藤森キャスター:
エネルギー自給率が低いなか、大量に電気を使う社会のもとで、どういう仕組みで動いていくのか注目すべきということですね。

電気代がさらに値上がりする可能性はあるのでしょうか。23ジャーナリストの片山薫記者によると、燃料(石炭・LNG)の価格はやや落ち着きましたが、円安の進行で、この半年は電気代は高止まりする可能性が高いのではないかということです。

自民党内からは「再び補助金を出すべきだ」という声が上がり始めているということです。

小川キャスター:
再び補助金を出すべきかどうか、この論点はどうでしょうか。

小説家 真山仁さん:
選挙対策としか思えません。補助金の前に、国民を巻き込んで、「どうして電気代が上がったり下がったりするのか」ということを広めて、考えていくことで、節電の意味も変わってくるように思います。

小川キャスター:
先々のリスクにどう対応していくのか、どれだけ考えていけるかということでしょうか。

電気料金について「みんなの声」は

NEWS DIGアプリでは『電気料金』について「みんなの声」を募集しました。

Q.来月から電気料金値上がり どう思う?
「仕方がない」…25.7%
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※5月30日午後11時24分時点
※統計学的手法に基づく世論調査ではありません
※動画内で紹介したアンケートは31日午前8時で終了しました。

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<プロフィール>
真山仁さん
小説家 「ハゲタカ」「ロッキード」など
最新著書に「疑う力」

片山薫 記者
23ジャーナリスト
元経済部筆頭デスク 財務省や経産省・農水省などを担当
趣味はハイキング 育児休暇中に家事をイチから学ぶ