為替と株価の関係 トヨタは円安が利益を押上げ

ーー日本の株価に円安というのは追い風なのか。為替と株価の関係性を見ていった際、円安時に日本株はどう動いていくのか?

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
基本的には円安は日経平均を押し上げる影響がある。
円安になると輸出企業の業績が円ベースに換算した時に嵩上げされるので株価にも基本的にプラスだが、ある統計によると、日本の企業全体の売上高のうち6割から7割は海外という結果が出ている。
中小企業は別だが、大企業は今海外で稼ぐ時代となっている。

ーーいかに内需が弱いかということが見える。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
先日、トヨタが最新の決算を発表した。トヨタ自動車の場合、1円円安に動くと、営業利益を500億円押し上げる効果がある。
日本の企業で初めて営業利益が5兆円を超えたということだが、その中で約7000億円は為替の影響。
仮に去年の円安がなければ5兆円超えていなかった。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
ただ以前と比べて、円安による日経平均の押し上げ効果というのが少し薄れてきている。
例えば、円安になってもそんなに株高にならない、こういうことも起きている。
背景には、以前は日本国内で作って輸出していた。それがリーマン・ショック以降、日本の企業は、輸出から海外現地生産にどんどんどんどん切り替えた。
それが影響してると言われてはいるが、もう一つ、企業は仕入れて、作って販売する。仕入れる時と販売する時のドルのボリュームのバランスを取るように変えてきている。
以前は、円で仕入れて作ってドルで売る、だから、円安になると業績がぐっと良くなるし円高になると業績が悪くなるという関係が強かったが、為替相場の変動が激しくなってきたので、企業としては、為替の変動に何か対応しないといけない。そこで、仕入れと販売のドル建てのバランスを取る、もしくはユーロ建てのバランスを取る、そうしておくと為替が円高に振れようが円安に振れようが、業績への影響を薄めることができる。