家庭向けの新商品を開発「針職人の世界の奥深さ」

そんな業務用針メーカーがこのほど開発した新商品。繰り返し使えるフードピックです。家庭向けの商品を考案したのは職人の手仕事を広く知ってほしいとの思いからです。

(ウィーブハリサ 米戸潤代表)
「自分自身が針職人としては未熟だという自覚があって…ベテランの職人を見ているとすごいなと思う。数々の工程とか細かい作業を知恵を出してやっている。これをまず知ってほしいなというのがあって。僕もすごいと思うので…」

美作市で育ち、大阪にある釣りのライフジャケットなどを作る会社で営業をしていたという米戸潤さん。6年前に父親の進さんが体調を崩したことがきっかけで仕事を継ごうと決意し帰郷しました。

(ウィーブハリサ 米戸潤代表)
「今はすごく元気なんですけど、当時すごく谷があった時があって帰ってきたんですけど、最初は全然思い入れがなかったですね。モノづくりとが好きでもなかったし…」

しかし父親と二人三脚で仕事をこなしていくうちに針職人の世界の奥深さに魅了されていきました。

(先代 米戸進⦅83⦆さん)
「お客さんが一番心配されていたんです。私が歳だということは客はみんな知っているんで。息子が帰ってきたといったらみんな喜んでました。私の代でポンと切れたらお客さんも辞めないといけないということだったので…」

針産業は国内の需要が激減、独立を決意

繊維産業とともに発展し高度経済成長期にピークを迎えたという針産業ですが、繊維工場の相次ぐ海外移転により国内での需要が激減。かつて進さんが勤めていた「ハリサ工業」も2001年に工場閉鎖を余儀なくされました。しかし、「針を作り続けてほしい」という顧客の要望を受け進さんは独立を決意。岡山工場の一部を引継ぎウイーブハリサを設立したのです。

(先代 米戸進さん)
「経営のけの字も分かりません。作ったらお客さんが買ってくれるから、とにかく20年間はがむしゃらに」

稼働している機械のほとんどはハリサ工業から受け継いだものだといいます。

(先代 米戸進さん)「これが一番年季が入っている機械です」
Q「どのぐらいですか」「分かりません。私が入った時にはとっくに使っていた。針の溝を切る機械です」