読み書きができない有権者もいるため「〇〇投票」

―――投票所の数で比べると、日本の衆議院選挙は4万6000か所ですので、全然違いますね。また、費用は2兆円とも言われています。そんなインドの総選挙は、国内を7つのエリアに分割し、そしてエリアごとに7回投票日があります。投票に約1か月半かかるということなんですが、その後の流れはどうなっていますか?

 「6月4日に一斉開票です。1か月半かけて投票したあと6月4日に開票されるんですが、その日のうちに全部わかるんです。どうしてかというと、電子投票なんです。つまりそれぞれ投票の際にボタンを押すんですけど、それを集計して発表されるのが6月4日です。日本の場合は全部紙に書きますから、開票に非常に時間かかるわけですよね」

―――電子投票を取り入れているのは、識字率というのが関係しているんですね?

 「インドの識字率は最近ずいぶん上がったのですが、それでも76%。つまり4人に1人はまだ読み書きができない。日本の場合は政党や候補者の名前を自身で書くでしょ。これ、世界でも日本ぐらいなんですよね。あらかじめ投票用紙に政党や候補者の名前が書いてあり、そこに印をつけるのが世界の一般的なやり方なんですが、日本の場合は皆さん読み書きができるから、“自分で書いてください”なんです」

―――インドの電子投票では名前と顔が書かれてあるボタンを押していくわけですが、名前も読めない人もいるので、名前だけでなく顔写真や政党の「シンボル」で選ぶということですね?

 「選挙運動をやっているときに候補者や政党が『私たちはこのシンボルです、このシンボルに投票してください』と呼びかけるんです。例えば今のモディ首相の与党は『ハス』なんですね。野党第一党は『手のひら』。電子投票のところにシンボルが描かれてありますから、そのボタンを押せばいいということです」

―――シンボルもいろいろあり、中には「トースター」や「防犯カメラ」「やり投げ」といったシンボルもあるようですね?

 「政党もものすごくたくさんあるし候補者も大勢いるので、それぞれが『このシンボル』と言うと、選挙管理委員会が全部これを電子投票に組み込まなければいけないのでものすごく時間がかかるわけですよ。なので、選挙管理委員会があらかじめシンボルを用意しておいて、この中から選んでくれませんか?というシステムです」