子どもと接する仕事に就く人に 性犯罪歴がないかを確認する 「日本版DBS制度」を創設する法案がきょう衆議院の委員会で可決されました。 ただ、性被害に遭った当事者からは 「不十分」との声が出ています。
「穴だらけで、非常に不安」「一番重要なことは子どもを守ること」
一般社団法人 Spring幹事 金子深雪さん
「今も被害に遭った当時のことというのは、もう温度から、においから全て覚えているんですけれども」

性被害に遭った人たちをとりまく法律や、さまざまな制度の改善を求め、政策提言活動に取り組む金子深雪さん。自身も子どもの頃に被害を受けた一人です。
小学2年生のとき、校庭で遊んでいたところ、突然、見知らぬ男性から体を触られたと言います。さらに…
一般社団法人 Spring幹事 金子深雪さん
「小学6年生の冬に(担任の教諭に)突然後ろからバッと抱きつかれて、胸を掴まれて、『大きくなったな』って」
小学生で経験した2度の性被害。40年近くが経った今も、「癒えない傷」として心に刻みつけられています。
きょう、「日本版DBS制度」を創設する法案が衆議院の特別委員会で全会一致で可決しました。
学校や保育所に対し、子どもと接する仕事に就く人について性犯罪歴を確認するよう義務づけ、前科があった場合には直接子どもと関わる業務を担当させないことなどが盛り込まれています。
ただ、被害者側などからは確認する性犯罪歴が限定的、などの批判が寄せられました。

立憲民主党・大西健介議員
「下着窃盗やストーカー行為が対象にならないという答弁がありましたが、これでは子どもを性暴力から守ることはできないと思いますけど、大臣いかがですか?」
加藤鮎子こども政策担当大臣
「性的な動機に基づくものなのかどうか、現実問題、(判断が)難しいという問題がございます」
きょうの委員会では附帯決議がつけられ、▼下着窃盗やストーカー行為なども「性暴力」として対象にすることや、▼ベビーシッターや家庭教師なども性犯罪歴を確認する対象とするよう検討することなどが盛り込まれました。

野党側も今回の法案は「不十分」としつつも、「制度を始めることが最大の抑止効果になることを期待する」と指摘し、賛成に回りました。
金子さんは「一番重要なことは子どもを守ること」だと訴えます。
一般社団法人 Spring幹事 金子深雪さん
「(法案成立は)歓迎できること。ただまだまだ穴だらけであるということ、非常に不安を覚えます。子どもを守るということが一番重要なんだと。そこを法律を作る人たちも、実際に実行していく人たちも常に念頭に置いていていただきたいなと」
法案はあすの本会議で採決が行われ、衆議院を通過する予定です。