なぜ「10万円超」にこだわる?“交渉術”のためか
小川キャスター:
党内からも異論が多く出ているということですが、本音はどこにあるのでしょうか。
23ジャーナリスト 宮本晴代記者:
16日の自民党の会議には約60人が出席しましたが、会議に出席した自民党議員からはこんな声がありました。
「政治資金パーティー自体をなくしてしまえ」
「公開基準額をもっと引き下げろ」
「全部公開すべき」
厳しい声が出ましたが、最終的に党の執行部は、国会会期が迫っていて、その議論の時間もなくかなり厳しいということで、「今回は10万円でいきましょう」ということで、16日は議論をまとめた形ですね。

藤森キャスター:
国民の目線をどこまで捉えているのかよくわかりませんが、この10万円にこだわっているのは一体なぜなのでしょうか?
宮本記者:
一言で言うと、政治資金パーティーは自民党議員にとって大きな収入源です。これがざっくり減ってしまう話になる。なぜなら、公開することで、買ってもらえなくなる可能性があるから。なので、なるべくその基準額は引き下げたくないわけです。
小川キャスター:
でも、そもそもこれは自民党の派閥の裏金問題から始まったことなのにもかかわらず、10万円だったらOKという感覚がちょっとよくわからないのですが。
宮本記者:
ある自民党関係者の話ですが、「10万円超」というのは、今回はある意味“交渉術”と解説しています。
どういうことかといいますと、来週以降、国会の場で与野党の協議が本格化しますが、この中で自民党の「10万円」という案に対して当然、他の党からは「10万円では不十分、もっと下げろ」という声が出ることは織り込み済みです。
それを受けて、自民党は「わかりました、もう少し下げます」というふうに、色々と交渉していき、最終的には、おそらく5万円に落ち着くのではないかと、あらかじめ思っているわけです。

そうすると、協議に入る前に「5万円」と設定してしまうと、各党はある意味パフォーマンスも含めて、安売り競争に入っていく可能性がある。つまり、引き下げた方がかっこいいわけです。
そうなると、“さらに着地点が5万円よりも低くなってしまう可能性がある”と思っているということです。
小説家 真山仁さん:
一番かっこいいのは、「我々がこういう種をまいてしまったんだから、我々はゼロにする」ということですよね。そうすると、「そこまでやらなくていいよ」となる可能性もありますよね。匿名だからこそ応援してくれる人は各党大事だと思っているわけです。
「さすがにそこまで極論にしなくていいんじゃないの」と言ってもらって、(金額を)上げてもらうことを考えるのが“交渉術”と呼ぶのであって、これは最初から甘々な状態なんですよね。
これを“交渉術”と言ったら、普段から交渉している人はみんな笑いますよ。















