中・小規模の市町村が水道や消防、ごみ処理など広い地域で一緒にやった方が良い事業を共同で行なう「一部事務組合」。
この「一部事務組合」の突然の決定で、し尿収集をめぐり住民に不安と混乱が広がっている地域があります。
取材を進めると、加入する自治体すら状況が把握できない不透明な実態が見えてきました。
浄化槽の点検や汚泥の回収 急な変更で不安

福岡県田川市に住む70代の女性は4月、25年間浄化槽の点検や汚泥の回収を依頼していた業者から「別の業者に変更する」という通知を受けました。
田川市民(70代)「私は変わりたくないんですよ。長い間信頼関係が出来上がっているのに、突然そんなことを言われても私は変わる気はないけど」
トイレや台所、風呂など家庭から出る排水を処理する浄化槽。
生活に密着しプライバシーにも関わるもので、定期的な点検と汚泥の収集が欠かせませんが・・・
RKB江里口雄記者「住宅の裏側にはこのようにし尿を処理する浄化槽がありますが、急な業者変更により約2か月点検が行われていないということです」
新たな業者が姿を見せておらず、不具合が起きないか不安が増しているということです。
自治体に問い合わせても「情報もっていない」

田川市役所に問い合わせてみましたが、回答は意外なものでした。
田川市民「詳しいことはクリーンセンターに電話して聞いてくれと。田川市としては一切詳しい情報はもらっていないと言うんですよ。おかしいと思いません?田川市民が田川市に電話して聞くのは当たり前なんです。大任町の町長あたりに聞かないといけないですか」
住民から問い合わせ殺到

田川地区10万人以上のし尿と浄化槽汚泥を処理する田川地区クリーンセンター。8つの自治体で構成される一部事務組合の田川地区広域環境衛生施設組合が運営しています。
田川地区広域環境衛生施設組合は3月15日、業者に対し、し尿を収集するエリア=地区割りを4月1日から変更すると突然通知します。
急な変更に住民から戸惑いと不安の声があがっています。
田川市民「自治体から市民に何も通知がないでね。こんなことされたんでね。憤ったですね」
田川市民「もう50年近くずっと馴染んで顔馴染みで、ある日突然違うところが来て、結構町内でも戸惑っている人が多い。どうしようか、と怖い」
田川地区広域環境衛生施設組合は、問い合わせ件数は「集計中」としていますが、田川市だけでも3月中に200件以上4月には483件の問い合わせが寄せられました。