4500万年前に生まれた「世界最古の砂漠」

さらに興味深いのが、この砂海の成り立ち。砂はなんと2000キロも離れた、別の世界遺産から運ばれてきたものだったのです。ナミビアの隣国・南アフリカとレソトにまたがって1000キロもつづく、ドラケンスバーグという山脈があります。ここも「マロティ=ドラケンスバーグ公園」という世界遺産になっているのですが、高さ1000メートルもある断崖が連なり、そこを流れ落ちる落差947メートルの巨大な滝などもあり、壮大な景観を誇ります。また4000年も前に先住民が描いた貴重な岩絵も多く残っていることから、自然と文化の両方の価値を持つ複合遺産になっています。

このドラケンスバーグ山脈の岩の層が雨風で浸食されて、小さな砂になります。その砂が大西洋まで流れる川によって運ばれ、海に出るとさらに海流に乗って北上し、波と風でナミビアの海岸に吹き寄せられたのです。ナミブ砂海を形作る膨大な砂・・・それが2000キロも旅してきて砂海になるまでには気の遠くなるような時の流れがありました。ここは4500万年前に生まれた「世界最古の砂漠」と言われます。