7月8日に起きた安倍晋三元総理銃撃事件をめぐり、“政治と宗教”の関係のあり方が問われている中、にわかに注目を集めているのが「2世信者」の存在です。今回、『祝福2世』と呼ばれていた元2世信者の女性が、信者だった頃の苦悩やジレンマを語りました。
「いじめ」「パニック障害」…元2世信者が語った“信者だった頃の苦悩”
横浜市の小川さゆりさん(26・仮名)。夫と3か月の息子と3人で暮らしています。さゆりさんは6年前まで『旧統一教会』の信者でした。
(旧統一教会元2世信者 小川さゆりさん・仮名)
「これは韓国の修練会の写真です。教祖が『2世たちは結婚する前に韓国で40日の修練会に出なきゃいけない』と」
両親も旧統一教会の信者で、合同結婚式で出会い生まれたさゆりさんは“祝福2世”と呼ばれていました。
(小川さゆりさん・仮名)
「『神の子です』って言われてきて、自分たちを神様から預かっている。親は私達を(神様から)借りて育てている立場だと聞かされていて」
教会の中でも特別だという“祝福2世”。しかし、その生活は全く逆でした。
(小川さゆりさん・仮名)
「お年玉とかが全部親に没収されたりとか、誕生日やクリスマスはプレゼントとか買ってもらえたことはなくて。小学校のころ6年間ずっと登下校でいじめを受けていて、お金がない貧乏な子たちというのが分かっていたみたいで、そういう理由で『くさいから』とかそんな理由も聞きましたし」
お金がない代わりに自宅には壺や印鑑が…。それがどんなに高額なものか幼いさゆりさんは知る由もなく、教会の教えに違和感を覚えながらも中高生向けの勉強会や修練会に参加するなど真面目な信者でした。
(小川さゆりさん・仮名)
「『堕落』とか、『サタンの世界に染まってしまうと地獄に落ちる』というのはずっとずっと怖かった。親も喜んでくれるし、自分がいま一番正しいことをしていて何も間違ったことをしていないからすごく安心感があって、そういうことで依存していた感じもあります」
両親が好きだからこそ“2世”の生活に耐えてきたさゆりさん。脱会のきっかけとなったのは、祖母の介護でした。介護に疲れた母親から強く当たられるようになり、こうしたストレスでパニック障害になったのです。その時、父親にかけられた言葉がいまも忘れられません。
(小川さゆりさん・仮名)
「(父親から)『試練を与えられるってことはすごいことだぞ。それだけお前は教会でも活躍していたし、神様が期待しているから』という話になって、本当に腹が立ちましたね」