■文化庁 事前報告の理由は「たまたま日程がはまった」


疑念が晴れないのは、政治家の関与があったのではないかと指摘されている“名称変更”をめぐる問題。

下村博文 元文科大臣(8月3日)
「もうちょっと丁寧にですね、当時の状況を踏まえて、今の文科大臣なり、あるいは文化庁が説明してもらいたいなと思います」

下村氏が文科大臣だった2015年、名称が、いわゆる「統一教会」から
「世界平和統一家庭連合」に変更することが認められました。

この“名称変更”によって、新たな被害者を生んだという指摘もあります。

教団側は、1997年から名称変更を求め、文化庁に相談していたといいます。教団の霊感商法などの問題が解決していないとして、「名称変更は認められない」と文化庁は門前払い。同じ状況が18年間続きました。

ところが2015年、教団が申請を行うと、文化庁はこれを受理し名称変更を認証、つまり認めたのです。

8月4日、改めて記者から質問を受けた下村氏は・・・

下村博文 元文科大臣(8月4日正午過ぎ)
「申請については『受理をすることにしたいと思います』と私のところに事前に報告がありました。『お伺い』ではなくて、『対応していきます』という報告です」

下村氏は、担当者から事前報告があり、最終決定者である文化部長が名称変更を了承したと説明しています。しかし、文化部長を務めた経験のある寺脇研氏は、こう指摘します。


元文化庁 文化部長・寺脇研氏
「事前報告っていうのは、報告というより“お伺い”っていう風に役人の世界では言われているわけで、報告する相手がだめだよっていう話をされたらできない話ですから、霞が関の官庁どこだってそうだと思いますよ。最終責任は文部科学大臣にある。その了解もなくこんな重大な決定はできないということだと思う」

大臣への事前報告は、「お伺い」だったのか?

8月4日、立憲民主党が行った文化庁へのヒアリング。事前報告した理由を聞かれた担当者は・・・


文化庁宗務課のコメント
「これはたまたま日程がはまっただけだと私は理解しております」

名称変更をめぐっては、当時、文部科学審議官だった前川喜平氏のもとにも、担当者から事前の説明があったといいます。

当時の文科審議官 前川喜平元文科事務次官
「私は『そんな認証すべきじゃないんじゃないか』と言った覚えがあるが、私が抗しきれない力が働いているということであれば仕方がないなということで」

前川氏が難色を示したにも関わらず、名称変更が行われたことについて、寺脇氏は・・・

元文化庁 文化部長・寺脇研氏
「事務方トップの判断がNOというときにそれがYESになる可能性っていうのはそれより上位の副大臣、大臣そして安倍政権の時代ですから、首相官邸っていうのが非常に強いですから、その3つのどこか」

教団側が申請に踏み切ったのは、相当な自信があったからではないかと、寺脇氏は話します。

元文化庁 文化部長・寺脇研氏
「枢要な政治家の方々が、自分たちの機関誌(教団側メディア)に登場しているとか、自分たちのイベントに登場しているということは、統一教会側の、申請者側の正当性を証明する材料にはなると思いますね」

名称変更についての責任を感じているか、問われた下村氏は・・・

下村博文 元文科大臣
「今となったら責任を感じます。ただ、当時名称変更したときですね、どこもほとんど報道されなかったと思うんですね。旧統一教会がそのこと(名称変更)によって新たに信者・国民に迷惑かけるようなことをするということは想像できない話でありますし」