空き家に対する法整備も

このため国は、対策として2015年に新しい法律を施行しました。倒壊の危険性がある空き家を「特定空き家」に指定したうえで、改善されない場合、更地と同様に固定資産税の優遇をなくすことにしたのです。行政代執行による解体なども可能です。

さらに2024年、倒壊の恐れがなくても、管理が不十分で部分的な破損などが見られる空き家も「管理不全空き家」に指定し、税の優遇措置から外すことになりました。

つまり、「管理不全」と見なされないよう、持ち主に責任ある対応が求められるわけです。

背景に「家族の形の変化」と「少子高齢化」

現在、全国にある空き家は900万戸。1953年には9万4千戸でしたので、100倍近くに増えています

1950年代頃は3世代以上が同居する大家族も一般的でしたが、70年代以降は、核家族が7割を超え、祖父母の家を継いで住み続けることが少なくなってきました。そして、70年代から80年代に新しく家を持った「団塊の世代」が今や高齢者となり、今後さらに空き家が増える可能性があるのです。

空き家を増やさないためには?

今後、空き家を増やさないためには、どうすればいいのでしょうか。空き家問題に取り組むNPO法人 空家・空地管理センターの伊藤雅一副代表理事は「親が子どもに実家をどう渡すか準備や相談をしていない例が多い。先送りしていいことは何もないので、みんなが元気なうちに今後のことを話しておくことが重要」と話しています。

(「サンデーモーニング」 2024年5月5日放送より)