総務省が発表した調査で、全国の空き家が900万戸と過去最多を更新し続けていることが分かりました。放っておけば倒壊の危険性やゴミの投棄、放火など、治安の悪化につながる懸念もあります。なぜここまで空き家は増えてきたのでしょうか? 背景には「日本の家族のあり方の変化」と「少子高齢化」がありました。

なぜ空き家が増えてきた?

空き家はどのようにして増え続けてきたのでしょうか。典型的な例を見ていきましょう。

例えば、両親と子ども3人の5人家族。子どもが成人してそれぞれ独立すると、両親の2人暮らしになり…やがて2人とも年を重ね、高齢者施設に入ると空き家になるわけです。

そして、両親が亡くなるまでに、この家の相続方法を決めておかなければ、3人の子供が分割して相続することになるのですが、この分割での相続が問題を複雑にします。誰かが住むのか、売るのか、取り壊すのか、意見が一致せず、結論が出ないまま空き家の状態が続くケースが多いのです。

解体にも税金と費用の壁

そして、なかなか家を取り壊せない理由の一つが、固定資産税の問題です。住宅が建っている土地には固定資産税の優遇措置がありますが、取り壊して更地にしてしまうと優遇措置がなくなるので、空き家をそのままにしておいた場合に比べ、固定資産税が最大およそ6倍に増える可能性があるのです。

さらに、家の解体費用だけでも何百万円もかかることも、空き家が放置される要因となり…そのうち老朽化して倒壊する危険性も出てくるのです。