円安が好循環のブレーキに!? 日銀 物価の見通し上方修正

為替について日銀・植田総裁の発言。「円安は基調的な物価上昇率に今のところ大きな影響を与えていない」と話した一方で「為替の変動で無視できない影響が発生すれば、金融政策の判断材料になる」と話した。

――植田総裁の発言で投機筋は勢いづいた。

ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
植田総裁は為替に対して結構ナーバスになっていて、それが動くことで金融政策変わるのではないかという市場の思惑があったので、このコメントが出て「えっ」というふうに思った方が多いだろう。そう意味では今回コミュニケーションに問題があったと思う。

物価見通しも新たに発表された。2024年度の物価見通しは前回1月の2.4%から上方修正し2.8%になった。そして2025年度は1.8%から1.9%に引き上げている。

――日銀は物価に対しては見方を上方修正し、しかも今回初めて出てきた2026年度の数字も1.9%。いってみれば2%の物価目標をもう5年ぐらい達成できるだろうという見方をしているということか。

ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
日銀が目標にしてる2%にはまだ達してないので、緩和的な状況は続けるというメッセージも出ている。

次に実質賃金を見てみると、名目賃金上がっても、物価が上がりすぎて実質賃金が下がるということが23か月続いてこれが消費を引っ張って、いわゆる好循環の妨げになるのではないかという懸念が出てきている。

ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
この先の予想として政府の方も6月に所得税減税とかいろいろなことをやっている。賃上げも起きているので、6月か7月ぐらいには実質賃金の方がプラスになるのではないかという期待感があったが、今回、円安・原油高と合わせて考えると、物価が上がって、なかなか実質賃金がプラスにならないという意味で、日本経済の好循環の先行きの見方が少し暗くなるニュースだ。

そういう中で、今後の金利の動向が注目される。日銀の今後のスケジュールは6月13日~14日、7月30日~31日、9月19日~20日の会合がある。

――次の利上げはいつになるのだろうか。

ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
植田総裁が基調的な物価の変化があれば利上げをすると言っているので、普通に考えると9月になると思うが、今の現状から考えるともっと前倒しになっていくと思う。

――そうすると早ければ6月ということもあるかも知れない。

ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
はい。

――考えてみると、通貨を防衛するために利上げをしなければいけないような国になったのかと思うとこの40年ぐらいの変化に驚くばかりだ。

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山田修輔 氏
バンク・オブ・アメリカ
主席日本FX金利ストラテジスト

矢嶋康次氏
ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト 金融・日本経済を中心に調査研究
近著「記憶の居場所 エコノミストがみた日常」

(BS-TBS『Bizスクエア』 4月27日放送より)