歴史的な円安で物価上昇リスクや消費への影響が心配される中、注目された日銀の金融政策は「現状維持」。

1ドル=158円台に突入 円安 訪日客に恩恵も…

「アメリカの牛肉もおいしいけれど、これは別レベル。和牛のために日本に来たいと思っていた」とロサンゼルスから来た観光客。築地に店を構える外食大手・ワタミの和牛串のテイクアウト専門店「築地 牛武」。

一番人気は、A5等級の和牛を使ったサーロイン串。値段は1本3000円(税込)。1日平均200本以上売れるそうだ。フロリダからの観光客は「これは20ドル。向こうでは90ドルほど。本当に高い。今まで見た中で1番安い」と話す。来店客の8割が外国人。3月は売上目標2000万円を達成したという。

ワタミ ブランド広報室 坂本まゆさん:
訪日外国人の方が増えているので、そちらに向けてインバウンドに特化した店を出した。

東京銀座のとんかつ店。「和心とんかつ あんず はなれ」。開店前から行列を作っていたのは日本人。目当ては1日20食限定の「あんず膳」群馬のブランド豚を使った、1650円のランチメニュー。

一方、外国人客が食べていたのは「豚ヒレのシャトーブリアンかつ膳」5280円。「このレベルのとんかつをオーストラリアで食べたら2~3倍はする」するという。一方、日本人客に「シャトーブリアンの高価なメニューがあるのは知っていたか?」と聞いたところ「知っているが、ランチとしては手が出ないような値段」と答えた。

店側は、毎朝行列ができる「あんず膳」は赤字のため、提供数を増やしたくないそうだ。

アトム株式会社 外食事業部マネージャー 森大輔さん:
(外国人客に)宮崎牛をおすすめすると大体頼んでもらえる。値段はあんまり関係ない。

円安が止まらない。4月初め、1ドル=151円台だった円相場は90年以来の円安水準を連日更新し、4月27日6時時点で158円37銭まで下落。下落の理由は、アメリカ経済の強さを反映する指標の発表が相次ぎ、4月17日にはFRBのパウエル議長が「インフレの抑制には予想以上に時間がかかりそうだ」などと発言。利下げが遠のくとの観測から、34年ぶりに最安値を更新した。

日銀決定会合を翌日に控えた4月24日、1ドル=155円70銭を超え、「防衛ライン」とされた155円をあっさり突破。そして、会合の結果が発表された4月26日午後0時半すぎ、1ドル=156円まで円安が進んだ。