ハンセン病回復者が絵画に込めた思い

参加者の絵を描く経験は様々だったので、最初に、美術家でもある学芸員の吉國さんがちょっとしたコツを伝えていたんですが、その時、隔離政策の下、子供を持つことが許されなかった療養所の入所者たちの中の描き手の一人が、桜並木の下で、花見をしているであろう家族の描いた絵に吉國さんは触れました。「ハンセン病回復者は家族が持てなかった人たちなんですね。そういった人たちが、こういった絵にどういった思いを込めたのか、切ないような、あるいは、憧れのような思いかもしれません。絵を単に上手く描く、とかではなくて、そこの場所にどういった意味があるのか、入所者がどういった思いを込めたのかっていうのを知っていただきたいと思い、この絵を紹介をさせていただきました。ある意味、そういった思いが形とか描き方を作っていくわけなんです」。

ハンセン病資料館2階では企画展が開催中

参加者の作品は、6月5日(水)~7月31日(水)、国立ハンセン病資料館の1階ギャラリーで、成果発表展として展示されます。2階では企画展「絵ごころでつながる-多磨全生園絵画の100年」が開かれているので、合わせて観ることができます。企画展では、療養所の絵を描く活動が、サークルとなって療養所の入所者同士や入所者と職員をつなぎ、戦後は、作品が上野の東京都美術館の美術団体展などに入選、展示されたりと、描き手と社会をつなぐものであったことが、作品や様々な資料から伺えます。企画展は9月1日までです。

担当:TBSラジオ「人権TODAY」崎山敏也(TBSラジオ記者)