人口問題、地域経済の専門家らが危機感を示すなか、22日、富山県は「県人口未来構想本部」の初会合を開きました。トップである本部長は新田知事が務め、そのわきを2人の副知事が固めます。会合の冒頭で、新田知事は県人口の減少に歯止めがかからない現状に触れ、「これまでの発想を大きく転換し、大胆な施策を打っていく必要がある」とあいさつしました。

22日は、県内人口の推移といった基本データが報告され、各部局長らが課題や決意を示しました。
松井邦弘こども家庭支援監:
「子育て中の方々からは、子ども連れだと混雑しているところで肩身が狭いとか、公園で遊ぶ子どもの声に苦情が寄せられるなどの声が上がっています。こうした声を大切にして子どもや子育てに温かく見守っていく社会全体の意識、雰囲気をもっと醸成していくことが必要だと感じております」
田中達也交通政策局長:
「人口減少等を背景に地域交通の経営環境、厳しさを増しております。事業者がサービスの向上に取り組むことがなかなか事業者単独では難しいとこういう状況にあります」
竹内延和生活環境文化部長:
「県内に生まれられた方々が、本県を離れたくないと思われる。もしくは戻りたいと思われる。また他県や他の国からここに移り住みたいと思っていただけるような環境をつくることで、人口の県外流出の抑制、外国人を含む移住や関係人口、交流人口の増加にもつながると考えられますので、当部といたしましてはそうした面で人口減少問題対策に貢献をしたい」
国推計76.2万人、県推計85.9万人のズレ

国立社会保障・人口問題研究所の人口推計では富山県の人口は2050年に76万2000人まで減る見込みですが、県が策定した人口ビジョンでは85万9000人となっていて、9万7000人分のずれが生じています。
こうしたずれを是正するため、富山県の構想本部では11月をめどに新たな人口ビジョンの骨子案をまとめる方針です。新田知事は、外部の有識者でつくる「成長戦略会議」とも意見交換しながら今後の人口減対策に取り組む考えを示しました。

新田知事:
「成長戦略会議と本会議とうまくキャッチボールをしながらともに政策を、大胆な発想の転換を図っていく。新しい施策を生み出していく。そんなふうになっていけばというふうに思っております」
※取材後記
富山県は人口減少の危機感から未来構想本部を立ち上げたわけですが、22日は新たな人口ビジョン策定とスケジュール以外に明らかになったことはなく、会議自体も30分で終了しました。人口減少は喫緊の課題だけに具体的な議論への早期の着手が望まれます。会議体を立ち上げるだけではなく、成長戦略会議と合わせて今後のスピード感と本気度が問われています。