新潟水俣病の症状を訴えながら国に患者と認められない人たちが、国と原因企業に損害賠償を求めていた『新潟水俣病第5次訴訟』で、新潟地裁は18日、一部の原告を新潟水俣病と認定し、原因企業に総額1億400万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。
しかし一方で、国の責任は認めませんでした。
【記者リポート】
「判決が出ました。『多数水俣病と認める 国の責任を認めず』」

新潟地裁は審理を終えた原告47人のうち26人を水俣病と認め、被告側の旧昭和電工に対して1人あたり400万円を支払うよう命じました。
しかし、原告側が求め最大の焦点にもなっていた「国の責任」については、認められませんでした。

この訴訟は、新潟県阿賀町(旧鹿瀬町)にあった旧昭和電工の鹿瀬工場から流れ出たメチル水銀の影響で、新潟水俣病の症状を訴える原告149人が、国と旧昭和電工に対して全被害者の救済措置と1人当たり880万円の損害賠償を求めたもので、2013年に裁判がはじまりました。

争点の1つである「国の責任」について新潟地裁の鈴木雄輔裁判長は、「メチル水銀の排出による健康被害の発生を、国は具体的に認識し予見できたとは言えず、排水の規制をしなかったことに国家賠償法上の違法はない」とし、原告側の主張を棄却しました。

【新潟水俣病第5次訴訟 皆川栄一 原告団長】
「今まで裁判で何回も闘ってきた 国の責任。また今回も国に負けたのかと思うと本当に悔し涙が出ます」

一方、2つ目の争点となる「原告が水俣病なのかどうか」をめぐって新潟地裁は、「阿賀野川流域に住む人たちは、新潟水俣病公式確認以降も阿賀野川の魚を多く食べる人がいた可能性はある」などとして、原告47人のうち26人を水俣病と認定しました。

そして、1人当たり400万円(26人分で総額1億400万円)の支払いを、被告側の旧昭和電工に対して命じました。
水俣病と認められた原告団長の皆川さんは、「長い間苦しんできた悔しい気持ちが今回ようやく認められた」とした上で、「もっと多くの人が認められるべきじゃないかなと、そういう気持ちでずっといましたから、私の気持ちとしては残念というしかありません 」と話しました。

判決について弁護団は、控訴するかどうかを今後協議して決めたいとしています。