そこに目を付けた不動産会社 見出した価値とは?

そんな中、島に転機が。19年前。大阪で田舎暮らし物件を中心に扱う不動産会社が鴻島の状況を知り、動きだしたのです。

(三和開発コンサルタント 高野光秋さん)
「『物件を売りたいんだけど、どこに行ったらいいかわからない』というお客さんの声が多々聞かれたんですね」

「足を運ばないと見られない景色ですね。瀬戸内海の。これと同じような物件は、探してもないよねと」

「売りたい」というオーナーが多く、海を望む絶景も魅力だったことから売買に乗り出しました。

廃墟になっていた空き家はリフォーム。離島かつ、築年数が経っている物件のため安く販売され、最近の5年間だけでも62軒売れたといいます。

「別荘4軒買いました、2000万円」

中にはこんな男性も。

「島内に4箇所物件を持っていまして」

バブル期から1軒の別荘を所有していましたが、その後3軒買い足し、移住。気分によって過ごす家を変えているといいます。

(男性)
「(4軒で)大体2000万円くらいですね。世界中で1番いい所ですよ」

最近は、海外の人も。中国から訪れたアイさんは、鴻島の景色に惚れ込みました。5年前から、母国と行き来しながら島で民泊を営んでいます。

(アイ シュフンさん)
「初めてこの島に来て、深い印象を受けました。ここに暮らして民泊をして世界中からの観光客を招待したいです」

なぜここに来て「廃墟の島」が甦ったのか 時代背景は

そして今。

(松村みなみ記者)
「こちら、きちんと管理されている建物です。そしてあちら、ウッドデッキが素敵な建物です」

「明らかに管理されていない建物は、ほとんどないように見られました」(【画像⑨】参照)

【画像⑨】廃墟化した別荘がリフォームされきれいに

島の物件を手掛けている高野さんは、「近年の生活の多様化が鴻島での生活スタイルに合致したのでは」と話します。

(三和開発コンサルタント 高野光秋さん)
「多拠点生活ですよね。1つの場所にとらわれることなく、皆さんいろんな場所でいろんな活動をされる。そういう点では鴻島も同じ」

中島さん夫婦も、以前住んでいた兵庫県と鴻島との二拠点生活を送っています。

中島さんはサラリーマン。神戸市の会社に出勤する必要があるため船の免許を取りました。

ー自家用車が船ってことですか?
(中島康徳さん)
「まあそんな感じで…」

島にはスーパーがないため、買い物に行くのももちろん船です。移住して、生活が大きく変化したといいます。

(中島康徳さん)
「以前は会社と家の往復だけだった」

(妻 愛華さん)
「ここだったら不便かもしれないけど、することもいっぱいある。2人で今度はどうしようかっていう」