避難先でも飲食店 知人から“ある相談”
470人が暮らす葛尾村。震災前は、1600人ほどが生活していました。
渡辺さん「これが小さいですけど看板です。23年くらいありますね」

「居酒屋政」。渡辺さんが自宅の一角に構えていた店です。10人が、やっと入れるその店は、村のよりどころでした。
渡辺さん「ここに立つとよみがえりますね。目の前に座っているお客さんがいて、テーブルのお客さんもいて、お客さんの話を聞きながら料理を作って。ゆっくり考えたことがなかった」

しかし、原発事故で村の全域が一時避難区域に。住民たちは、故郷を離れることを余儀なくされました。
渡辺さん「ここには大きい家があった。それも壊されましたし、あっちの家もこっちの家もあるんですが、誰も住んでいないですし」
避難先の三春町で飲食店を開いた渡辺さん。2019年に村に戻ってからも、三春町で店を続けてきました。

渡辺さん「みんな違う場所で生活の拠点を作ったので、商売をやるには厳しいなと」
しかし去年、村の知り合いから“ある相談”を受けます。
「夜、食事をする場所がない。村に店を開いてくれないか」。